これまでに生活をしたことがない地域で暮らし、その土地の風土や文化に身をおきながら、初めて出会う障害のある人、日雇い労働者の生活に驚き、高齢者施設やホスピスで「死」と向き合う。また、活動先との関係から生じる問題、ボランティア個人が抱える問題などは、フルタイムで関わる活動だからこそ表面化することも多い。
2 一緒に悩み、共に喜びながら
コーディネートを行う協会スタッフの役割は、ボランティアと活動先をつなぎ、調整することである。4名の専門スタッフが24時間つながるホットライン(携帯電話)を用意し、いつでもボランティアや活動先からのヘルプコールに対応できるようにするなど、ボランティアのサポートやケアを行っている。
また、9月には前半の活動を整理して振り返り、後半の活動をより充実したものにするための中間研修を実施している。内容は、個々の想いを全体でシェアリング(分かち合う)することに重きをおき、個人面談をとおして後半の活動への適切なアドバイスを心がけている。
全体のシェアリングのなかでスタッフはあまりコメントをはさまず、彼らの言葉の端ばしから「活動の様子」を理解する。また、喜怒哀楽を表現してもらうことで、ボランティアの1年間におけるバイオリズムを知る。
仲間どうしのコミュニケーションの機会としても重要である。同じ立場で、全国各地でがんばっている仲間たちの姿を見て、悩みをすべて語り尽くす者、逆にぎゅっと心に秘めて「負けるもんか」とポジティブに考える者…。夜はお酒を交えながらの語り合いに涙する者、笑う者…。
協会スタッフが「指導」するのは、最終手段だと考えている。アドバイスはするが、最後の決断はボランティアに委ねたい。自分自身のことを、苦しみながらも自ら決断することは、このプログラムに参加した者に与えられる権利だといえる。