そんな、他者の苦悩と一緒に揺れてしまう弱さがあるからこそ、他の生命と同じ立場に立って問題を受けとめたり、他者と共振することができるのである。
ボランティアが示す人間の本質は、弱い存在であるということだ。弱い存在としての自分を認め、そんな自分をいとおしみ、自分自身をケアしながら苦悩を乗りこえて、自分を成熟させていく。ボランティア活動をとおして「自分が自分になる」ということである。
だからボランティアのケアは、「自分が自分になる」ためのセルフケアを、いかに支え合ってケアするか、ということである。自分の弱さに気づき、傷つきやすいことの価値を高める過程をより普遍的なものにしていく「ケア」の視点こそが、従来の人間観を再構築し、新しい社会を展望するヒントになるのではないだろうか。
(日本ボランティア学会事務局)
[テ?
1) 栗原彬(立教大教授) 『朝日新聞』 2000.11.1夕刊.
2) 中村尚司(アジア太平洋資料センター共同代表) 講演『日本ボランティア学会2000年度大会』 2000.6.24.
3) 中田豊一(参加型開発研究所代表) 『ボランティア未来論』 2000、コモンズ
4) 前掲書
5) 本書ケース3-I参照