序論
深海底の石油利用により、ライザーの実用設計には継続的な変更がもたらされてきた。例えば、既存の設計ガイドラインでは、疲労計算に渦励振による影響を含めることを推奨しているものの、設計手順として完成されたものは確立されていない。
ライザーは、使用期間を通して潮流、波浪、および上端接続部から伝わるプラットフォームの動きからなる、さまざまな組み合わせ負荷にさらされる。こうした負荷にはライザー壁面内部に振動応力を与える成分が存在する。振動の原因のうち、渦のはく離については特に注意を要する。こうしたことから、ライザーの設計には疲労破壊の評価を取り入れ、設計使用期間中に構造が破壊されないようにする必要がある。
著者らの現在の研究は、渦励振を含む典型的な励振現象によるライザーの疲労破壊について、評価手順を改善する可能性のある手法を対象としている。提案する設計手法は、小規模な実験と、Marlim Fieldに設置されているP-18半潜水式プラットフォームの鋼製カテナリーライザー(SCR)のモニタリングプログラムによって検証を行なう予定である。
基本的な概念
流体による流れ方向と横方向の力をより現実的に評価する目的から、渦励振現象を理解するための試みが数多く行なわれている。