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会議への参加者は約600名であり、エントリーされた論文の発表は、開催期間中において91セッション、13会場に分けて行われた。各論文発表は、発表時間15分、質疑応答時間5分で行われた。

出張員は、5月29日のOcean & Renewable Energy IIにおいて「沖合浮体式波力装置“マイティーホエール”実海域実験」について発表を行った。本セッションでは、波浪エネルギー利用装置に関係する5編の論文がエントリーされていたが、1編は発表者が参加出来ず、4編の発表であった。本セッションにおいて出張員の他に日本からは東北電力の水弁集約式波力発電システムの実海域実験の報告があった。出張員の発表に対しては、実海域実験におけるタービン・発電機の故障の有無、浮体運動と波エネルギー吸収効率との関係、浮体排水量と出力の関係などについての質問を受けた。

Ocean & Renewable Energyセッションは、5セッション、25編の論文エントリーがあり、このうち21編が波浪エネルギー関連、2編が潮流エネルギー関連、2編が沖合風力エネルギー関連の発表であった。波浪エネルギー関連の発表ではタービンの翼型とその効率に関する発表のほか、EUにおいて進行中の実規模波力実験装置(ポルトガル、アゾレス諸島ピコ島)の発表、オーストラリアにおいて計画中の実規模波力実験装置の波エネルギー吸収性能等の設計に関する発表、デンマークにおける図1に示す狭水路越波型の原理を応用した「ウェーブ・ドラゴン」と呼ばれる浮体式の波力発電装置の開発に関する1/4縮尺模型実験の報告等が行われた。これまで波浪エネルギーに関する研究において特に波力装置の実海域実験は、比較的日本がリードしてきたが、最近においてはEU諸国における実海域実験を含めた波力装置の開発が活発化しており、二酸化炭素削減等環境対策から再生可能エネルギーを積極的に導入しようとしている意気込みを実感できた。特に、デンマークは2030年までに自国におけるエネルギー供給の50%を再生可能エネルギーにする計画を持っており風力発電等とともに精力的な開発が行われている。

 

 

 

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