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巻末

 

I. 国連ECE勧告第31号「モデルEC協定書」

 

情報技術(IT)は文字通り日進月歩の勢いで進歩しているので、電子商取引についての一般企業の期待は、近い将来、インターネットやEメールのように、より一層簡単な手順で、しかも低廉かつ安心して使用できるオープンシステムの実用化にあると思われます。米国においても、EDI化率は、大手企業の95%に対して、中小企業ではわずか2%に過ぎないと報告されています。そこで、多数の中小企業が容易に参加できるような電子商取引を実現するためには、技術的側面だけでなく、法的側面からの環境整備が急務と考えられます。例えば、グローバル・レベルの法的枠組みへの取粗みとして、UNCITRALの「電子商取引に関するモデル法」および「電子署名に関するモデル法案」、WTO「グローバルな電子商取引に関する宣言」、OECD「暗号政策に関するガイドライン」、ICC「デジタル技術で保全された国際電子商取引に係わる総則(GUIDEC)」などを挙げることができます。

 

国連CEFACT/LWG(法律問題作業部会)は、これらの法的枠組みが電子商取引の発展のために必要な信用の構築に貢献することは問違いないけれども、電子商取引を実施するためには、なお電子的に契約を成立される手順に関連する問題を解決する必要があると考えます。そこで、企業間における信用の構築およびモデルEDI交換協定書(勧告第26号)の有効な活用に寄与する目的で、LWGは、1999年の作業計画の一つとして、「モデル電子商取引協定書」(Model Electronic Commerce Agreement)を開発し、これを勧告第31号として国連CEFACT総会に提出する準備を進める一方で、各国にこれについて意見を求めました。本特別委員会は、この最終案を検討して、これに対するコメントを提出しました。

 

Eコマースに関する法律制定は、現行法のルールをEコマースに適用することについての法的不確実性をなくす有益なツールとなります。しかし、法律を制定しなくても、統一規則とか標準契約書のような柔軟性をもったツールが、補助的手段として役立ちます。このような柔軟性のある手段の一例は、国連CEFACTが、電子データ交換(EDI)のユーザーに対する勧告として1995年に採択したモデルEDI交換協定書(勧告第26号)です。このモデル契約書は、特にEDIという方法によるデータの電子的交換に焦点を絞っているため、技術依存的(technology-dependent)であります。EDI以外の技術の使用増加に伴って、技術独立的(technology-independent)なモデルEC協定書に対する要望が高まってきました。

 

 

 

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