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CIF輸出においては、申し込み内容を電子データで受け取り、保険証券(保険内容の情報)が、他の書類と一緒に電送されれば問題は解決するといってもよいでしょう。

輸入においては、同じように申し込みを電子データで受け取り、引き受け内容・保険料を電子データで送れればよいわけです。保険料の決済は、保険の契約者との間だけの問題です。

そうは言っても、解決しなければならない課題はいくつもあり、簡単にできるというわけではありません。それについては、これまで説明してきたとおりです。

 

EDI化は、損害保険会社だけではなく、関連業界各社にとって時間の短縮、事務処理の簡素化等のコスト削減に繋がることは言うまでもありません。時間だけでなく、空間も越えられるわけですから、証券発行業務は、必ずしも日本でなくてもよいことになります。これまで以上に具体的に考えていけば、損害保険会社にとって、今後検討すべき課題がもっとでてきます。もう少しイメージを具体的にし、課題を整理し、アクションプランを示していかなければなりませんが、その点は次回報告することにします。

 

ここでは、決済上単なる申し込み・発券機能の範囲のEDI化ではなく、決済機能を備えたフル装備のEDI化の実現について、最後に簡単に触れることにします。

 

今のところ、保険会社にとって、保険料の決済機能に関し、差し迫った深刻な問題とはとらえていませんが、できれば改善したいところではあります。

外航貨物海上保険における保険契約取引上、通常、保険料は前月分を一括して翌月に支払うことになっています。しかしながら、契約者によっては、15日までの申し込みは翌月払いとか独自に決めており、保険はそれに合わせざるを得ない状況になっています。一月分をまとめた保険料請求書を契約者毎に毎日のように作成提供するなど煩雑になっています。それも契約者毎にフォームが異なるなど一様ではありません。

 

従って、保険会社にとっても決済機能を備えたEDI化が望ましいことです。Debit Noteそのものが請求書でありますが、英文ということもあり、別途請求書を作成するといった作業を行っていますが、税務の問題もあり簡単に解決できません。電子データによる決済機能を含めた検討を損害保険会社としても検討していく必要があります。

 

(塩野和弘)

 

 

 

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