EDI化には、信用状の電子フォーマットで保険条項欄のパターン化・標準化が欠かせません。これができないと、損害保険会社においての100%電子データ化は達成できません。信用状に関しては、損害保険会社は当事者にはなれませんので、簡単に解決できる課題ではありません。国際商工会議所に信用状の保険条項欄のパターン化・標準化に向けた取り組みを促すことやバイヤーに開設銀行への改善を要請するといった働きかけが必要です。
2.7 損害保険代理店との関係
保険契約者と保険会社の契約には、保険代理店やブローカーが介在する場合がほとんどです。電子化する場合には、これらの保険代理店、ブローカーが電子化に対応できるかが課題になってきます。
2.8 輸入通関システムとの連携
日本では、輸入通関時に関税額の算出のために貨物海上保険の保険料が必要です。必ずしも保険料請求書(Debit Note)の現物が通関時に必要と言うことではありませんが、その場合にはそれなりに別途手続きが必要となります。
現在、税関のSEA-NACCS(海上貨物通関情報処理システム)およびAIR-NACCS(航空貨物通関情報処理システム)と海貨業者/銀行/倉庫業者/船会社とはシステムで接続されていますが、損害保険会社は繋がっていません。接続されれば効率的であることは間違いありませんが、実務上積極的なメリットはあるようには考えられません。従って、税関当局において、電子化された保険料請求書(Debit Note)を通関時に使用できるよう実現を図ることが課題と考えます。
3. 課題解決のアクションプラン
3.1 紙と電子の保険証券の併存時期と業務イメージ
これまで検討してきた内容から、EDIが実用化してからも紙と電子の保険証券の併存する期間がしばらくは続くものと容易に想像できます。環境が整った企業や国からスタートすることになりますので、世界中がすぐにEDI化するわけではありません。