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また、自動車を対象としたサーベイにおいては、その結果を電子データ化して損害保険会社や荷主に提供するなど、限定された部分ではすでに実用化しています。

レポートに使用される証拠写真については、デジタルカメラで撮影されたものの利用が増えてきています。デジタルカメラで撮影された映像は修正等が容易に可能であり、当初証拠になり得るかとの疑問も少なからずあったのですが、今のところ、特に問題が生じていないようです。

 

今後のITの進歩に従って、電子化は進むと考えています。どこの企業にとっても同じですが、電子化するには、かなりのコストが掛かります。サーベイヤーにとってのこのコストは、直接に大きな利益の生む投資ではありません。規模的に大きなサーベイヤーは少ない(個人企業も多い)ので、大半のサーベイヤーにとっては頭の痛い問題です。サーベイヤーの淘汰の時代になるかもしれませんが、損害保険会社にとっては、サーベイヤーの持つIT技術よりもサーベイ技術・能力の方が最終的には大事になるということも事実です。

事故の原因や事故・損害状況などは様々です。全てがデータ化できるようには考えられません。電子データ化はある程度制限されます。

 

2.6 保険証券への信用状における指定事項の記載

 

海外の銀行が開設する信用状(Letter of Credit)の保険に係わる条項文言は多種多彩であります。同じことを意味していると理解できても、表現が少しづつ異なる場合も多く、また、念を押す為にわざわざ文言を追加したり、免責にされないようにするためにそうすると考えられるものもあります。

 

例えば、基本条件がオールリスク(All Risks)を指定しておきながら、盗難不着危険(Theft, Pilferage and Non Delivery)や淡水濡れ損害(Fresh Water Damage)の担保の記載を証券に求める場合などです。

あるいは、信用状に指定された内容で保険証券を発券しても、上記の場合などのように、わざわざ信用上に記載されている文言を一字一句その通り保険証券に記載しないと銀行を通らないなどといった、損害保険会社では、全く理解できないこともよくあります。

 

国際商工会議所(The International Chamber of Commerce)でも貿易決済のEDI化に取り組んでいますが、貨物代金の決済の仕組みがその中心となっており、保険条項については取り置かれているように思われます。しかしながら、信用状の保険条項欄に記載される内容は、保険契約の重要項目であります。

 

 

 

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