これを損害保険会社の本社または海外査定拠点、あるいは統括査定代理店に送付して、ここで、支払保険金額が保険金請求者と協定され、保険金が支払われます。
通常は、保険金請求者は、保険証券(Insurance Policy)もしくは保険引受書(Insurance Certificate)を他の船積書類と一緒にサーベイヤーに提出します。電子化されたクレーム書類をそのまま利用して、サーベイヤーが損害調査を行う場合は、電子データの内容を充分理解してもらう手段を何らかの方法で取らなければなりません。
一般的には、損害保険会社は、世界各地のネットワーク(損害査定代理店)に保険に関する電子データの内容を別途連絡(提出)することになります。貿易取引の当事者ではありませんので、あらかじめ電子データ取引を行う当事者に含め、電子化されたクレーム書類をそのまま渡すことには基本的に無理があると考えます。
具体的な方法としては、二つ考えられます。
一つは、事前に保険の内容をサーベイヤーに連絡しておくことです。スポットで輸出されるケースは意外に少なく、大半は、商売は継続的に行われます。先に説明しましたとおり、事前に保険契約を締結した後、すみやかに輸出される仕向地のサーべイヤーにその内容を連絡しておく方法です。
もう一つの方法は、サーベイヤーが事故連絡を受けた後で、損害保険会社は、該当する保険契約情報を連絡する方法です。スポットでの引き受けの場合にはこの方法が適当です。クレームが起こるかどうかは判りませんし、クレームの発生しない確率の方が圧倒的に高いのですから。
尚、保険金請求者が電子化されたクレーム書類を紙に打ち出して、従来通り紙でサーベイヤーに渡す方法も考えられます。転売される場合のことを考えると、この方法では無理が生じますが、決まった輸出先であれば有効な方法です。
このように、いくつかの手段を講じることによってこの課題は解決されるでしょう。
・電子化されたクレーム書類のデータ改竄
この課題は、電子化されたクレーム書類(特に保険証券)の途中のデータ改竄がないことを損害査定代理店にどのように確認させるか、損害査定代理店が電子化されたクレームデータ書類をそのまま信用してクレーム処理をした後に保険金の二重払いが発覚した場合の責任は如何に、といったところでしょう。
これについては、前記の項目の課題と合わせて整理していくことができます。