しかし、EDI化のためにTEDIやBOLEROといった機関を利用することを考えれば、むしろ、電子化された保険証券には、約款名のみを記載するか、あるいは「〇〇約款を参照」と記載するかなどして、簡略化し、これら約款の内容を参照できる方法を明確にしておくことが、より実用的です。国際的に通用する証券であり、基本約款は各社毎に内容が今後変わることはありませんが、損害保険会社毎にホームページを開き閲覧できるようにするとか、中立機関に事前登録し、常に更改しておくとかの対応をとることが必要です。
問題は、特別約款です。輸出輸入を取り扱う外航貨物海上保険は、自由料率/自由設計の商品ですので、物流の実態、輸送される貨物の性質、梱包方法等に従い、契約者のニーズに対応すべくオーダーメイドの設計がされていました。その結果様々な特別約款が作られてきました。
一般的な貿易取引において使用される約款は、各損害保険会社の中では、ほぼ標準化してきてはいますが、一方では、物流等の変化に応じてその内容も変化し続けています。標準約款として、一部は上記基本約款と同様な扱いを取ることも可能と考えますが、一部カスタマイズ型の特別約款を、電子化された保険証券のデータとして取り扱うことは避けられそうにありません。
いずれにしても、損害保険会社においては、特別約款の整備(整理・統合、標準化)やコード体系化を一層進めておかねばなりません。
2.4 データ訂正の取り扱い
データの訂正は、データの改竄の問題と共通する課題です。紙ベースにおいても、保険証券の偽造・改竄は起こりうるわけで、特に海外でクレームが処理される場合に心配されます。とは言え、これまでに損害保険会社でこれが問題になったケースは聞いたことがありません。
偽造・改竄については、書類が電子化されたことによる固有の問題ではありませんが、電子署名といった機能を利用すれば、この問題は解決されます。
また、一度送られた証券内容に変更訂正があった場合、損害保険会社のみが、訂正後の再送信を行えるように、技術的に対応する方法を検討するのがよいのではないでしょうか。
登録局のシステムで、証券データを記録し、データの訂正/削除/取り消しの履歴管理を行うという案もありますが、費用対効果を考えると実効性があるかどうかは、十分検討する必要があるのではないでしょうか。