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本邦から見た輸出を考えると、輸出先相手国のインフラ整備も念頭に置いて議論することも必要になります。

以上のように解決しなければならない種々の課題が依然山積みですが、これらの主な課題について次の通り再度整理いたします。

 

2.1 申し込みにおける契約者の付保意思の確認

 

保険契約は、契約者からの保険申し込みに対して保険会社が引き受けを承諾した時点に成立する諾成契約であります。保険申し込み業務フローがEDI化されても、契約成立までのプロセスは従来通り契約者と損害保険会社との間で、何らかの通信手段をもって事前に交渉が持たれます。

両社によって、保険を申し込むもの、引き受けるものを、あらかじめ決め、契約を締結しておき、その際に保険会社は、契約者の署名捺印を取り付けておきます。その契約の内容に従って申し込みがされるとの前提で考えますと、一輸送毎の保険の申し込みにおける、契約意思の確認という作業は、送信されてきたデータが間違いなく本人であるとの確認ができればよいと考えられます。

これについては、損害保険に限られた問題ではなく、また、ITの技術によって解決が可能な問題と考えられます。しかしながら、次のような現状を考えると、業界としての十分な検討が未だ必要であると言わざるを得ません。監督官庁の理解を得ておくことがポイントになるかもしれません。

 

保険契約の締結または保険募集に関し、保険会社の遵守しなければならない関連法規には、

・保険業法第300条1-1 (重要事項説明)

同施行規則第53条1-6 (重要事項説明・書面交付)

第234条-5 (共同保険契約)

第53条2 (外貨建て)

・金融商品販売法(平成13年4月1日施行)(信用リスク=破綻リスク、市場リスク)

・消費者契約法

があります。

これらに基づき、保険会社は契約募集する際に、契約者に重要事項(重要事項については次の項目2.2を参照)を説明し、その内容を理解してもらい、契約意志を確認するために、署名・捺印を取り付けなければなりません。先に説明しました、EDI化したとしても、「あらかじめ契約を締結しておき、その際契約者の署名・捺印を取り付けておくことを前提とした」理由が理解できると思います。

次の項の重要事項説明に関しても、上記法規に関連します。

 

 

 

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