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損害保険大手4社(住友、東海、三井、安田)においては、当初から貿易金融プロジェクトに参加し、保険フォーマットの共通仕様などの検討を行い実証実験に加わっていましたが、TEDI CLUBに入会し引き続き実用化に向けて鋭意取り組んでいます。

貿易金融に関し、EDI化、ペーパーレス化が進むことが充分予想されますが、現在のところこの問題を検討している唯一の国内組織であるTEDI CLUBにおいて、外航貨物海上保険の国内標準仕様を作り上げようとしています。規約、技術、標準化、普及の各部会で保険分野からの活躍が期待されています。

 

1.2 TEDI、BOLERO、インターネットの3つのツール

 

TEDIに関する状況は前記のとおりであります。欧州での貿易金融EDI上の中核的なプラットフォームとして、BOLEROが知られています。すでに保険証券も他のドキュメントと同様にデータ授受のためのルールやファーマットは用意され、通信手段を有償で提供できるようになっていますが、保険に関し実用化している状況ではありません。

欧米では、そもそも保険引き受け方法が異なり、無証券化、Insured Invoice化等による保険証券の簡略化が一般的であり、保険証券そのものが必要とされていません。米国においては、通関における関税も、FOB Valueをベースにしており、保険料に関する書類は必要とされていません。こういった背景があるためと考えられます。

日本の金融機関においては、一部の大手都市銀行等が参加しておりますが、まだ実用化の規模は小さいのが実状です。従って、損保業界としては関心をもっていますが、現在のところでは、主にTEDIを中心に活動しています。しかしながら、今後はBOLEROにおいても今まで以上に参加・活動していくことになると考えます。

 

BOLEROやTEDIについては別の章で詳しく説明されていますので、ここではインターネットを活用した別の動き(契約者が保険会社のインターネットWEBサイトにアクセスし保険を申し込む方法)について、一つの例を簡単に説明します。

 

契約者とはあらかじめ契約内容を決めておき、包括予定証券を発行します。次に、決められた内容をパターン化し、保険会社のWEBサイト上に登録しておきます。契約者は保険の申し込みをする都度保険会社のWEBサイトにアクセスし、契約パターンに船名、出帆日、貨物数量、インボイス金額等を追加入力して、保険会社に送信してきます。保険会社は、送信された内容をチェックの上、保険料等を記入し、返信する、というのがこの方法の基本的フローです。

 

 

 

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