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IX. 損害保険におけるEDI化への課題

 

1. 損保業界EDI化への現状と方向性

 

EDIによる保険の申し込みは、大手商社・メーカーと保険会社間で1980年代半ばから行われており、既に申し込み件数の4割以上を占めていると推測されます。その中には、保険会社で処理したデータもEDIにより送信されている場合もありますが、これらの企業との送受信システムの方法は、それぞれの企業のシステム状況に従って、それぞれ異なっています。

保険会社にとっては顧客のシステムの状況に常に合わせなければならないこと、さらに、各顧客のシステムが変更される度に、開発・修正作業をせざるを得ない為、その負荷は相当なものになってきており、接続問題は保険会社泣かせとなっているのが現状です。

 

パソコンの急激な発達・進化により、企業内システムもパソコンをベースにしたものに変わりつつあり、顧客のシステム環境も変化しています。EDIの送受信方法も、ホストからホストであったものが、インターネットを利用する等パソコンベースに変わろうとしています。

また、これまでの大企業による大量データの送受信とは別に、ホームページを活用して申し込み処理を行う方法が開発され、本邦において中小企業を対象に、数社ですでに実用化されています。現在のところまだ大規模に利用されているようではありませんが、今後は加速度的に一般化することも予想されます。

欧米に於いては、1997年頃から自動車保険を主体にインターネットを使用した保険募集を大々的に始めました。貨物保険分野においても、昨年(2000年)頃からは、ブローカーが積極的に、このウェブを活用した申し込みや引き受け書発行方法を開発し、顧客や保険会社に売り込んでいます。

 

損保業界においては、貿易金融取引に係わる外航貨物保険の機能を果たすため、関連する各業界との情報交換や同業社間での情報交換を進めるだけでなく、大手損保を中心に、EDI推進に係わる団体・組織に加入し、技術的な方法を具体的に検討・開発しています。各損害保険会社においては、社内のシステムを外部環境の変化に合わせる必要があり、それぞれに取り組み始めていますが、規制緩和、業界再編成という状況下に於いて、各業界と同様に簡単な取り組みとはいえません。

さらに、損害保険も各種法律・規制下におかれているため、技術的な面を詰めるとともに、法律・規制等の様々な課題を解決し、標準メッセージ・コード等を統一しなければなりません。

 

 

 

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