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3.3.1 Boleroの概要

Boleroとは、貿易金融EDIのネットワークを提供する、営利団体です。

SWIFTおよびTT Club (Through Transport Club、国際的な船会社や運輸会社、港湾当局等で構成される相互団体)の出資により、1998年12月に設立されました。

現在では、日・欧・米の主要な銀行や企業が、参加しています。

 

Boleroは、国際的な貿易金融EDIプロジェクトとしては初めてのもので、各国の商社、企業、金融機関等の注目を集めています。

 

3.3.2 これまでのBoleroの取組

Boleroでは、これまではどちらかと言うと、船荷証券の権利移転が主に考えられていたと思います。その特徴は次のとおりです。

 

・ユーザー間の権利義務を定めた規則書(Rule Book)に基づき、ユーザー同士が電子データを交換するためのインフラ(Core Messaging Platform)を提供する。

・貿易書類のうち、船荷証券を電子化し、電子化された船荷証券の移転管理はデータベース(Title Registry)により行う

・船荷証券以外の書類については、当初は、イメージ形式での授受のみ可能でした。その後、XMLを用いて標準化する方針に転換しており、50種類程度の貿易書類の標準化を実施中です。

 

3.3.3 Boleroの新しい展開

Boleroは、Identrusを電子認証基盤として採用することを表明するとともに、新たなプロジェクトを開始しています。そのプロジェクトでは、各種貿易書類を一元的に管理するリポジトリを構築し、当初契約から始めて、後続の貿易書類を全て、リポジトリに格納していくもののようです。

これにより、当初契約と後続書類(例えば信用状やインボイス)の内容との自動チェックが可能となり、もしこれが実現された場合は、銀行のみならず貿易業務に携わる企業にとって、大変大きな、抜本的な効率化が見込まれることになります。

また、条件付支払も可能になります。例えば、当初契約で支払条件が船積時払いだった場合、船会社からの船積み完了メッセージがリポジトリに到着したことにより、自動的に支払いを起こすようなことも可能になります。

 

 

 

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