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2.3 企業間の国際的な電子商取引

 

貿易書類の電子化とは、現時点では、少し異なる動きとして、企業間の国際的な電子商取引の展開という動きがあります。これは、インターネットの普及を前提として、輸出者と輸入者の当初契約の電子化から入るアプローチです。

 

ところが、このようなアプローチも、電子的な契約の成立だけでは、利用者に十分なメリットがありません。電子的な契約が、物流・決済業務へ連動し、一連の取引が全体として効率化されることが求められています。

このような「国際的な電子商取引」の動きと、「貿易書類の電子化」の動きが上手に融合される場合に、初めて、利用者のニーズにマッチした貿易金融業務の電子化が実現されると考えられます。

 

3. 貿易金融電子化に関する各種プロジェクト

 

上記のような観点から考えた場合、銀行の立場から見ますと、重要なプロジェクトがいくつかあります。その代表的なものは、次の3つです。

・Identrusによる、企業間電子商取引における電子認証業務

・SWIFTのe-commerceへの取組

・Boleroによる貿易金融取引の電子化

 

国内のプロジュクトとして、TEDI (Trade EDI)があり、これも大変重要ですが、別の論文で紹介されますので、ここでは省略します。

 

3.1 Identrus (IdentityとTrustの合成語)

 

まず、Identrusから話を進めることとします。というのは、後述するBoleroもSWIFTも、電子認証手段(インターネット上での取引相手の確認手段)としてIdentrusを採用することを表明しており、密接な協力関係にあるからです。

 

Identrusは、金融機関を構成メンバーとする電子認証組織で、1999年3月に設立されました。現在では、世界の主要な銀行の多数が参加しています。

 

3.1.1 Identrus登場の背景

インターネットを通じた、国際的な企業間の電子商取引の場合、取引相手の確認(取引の相手が誰であるか、その会社を代表する正当な権限を有しているか)が、第一のポイントになります。(第二のポイントは支払約束ですが、これも後記のように実現可能になってきています。)

 

 

 

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