同時に、貿易に携わる企業からの改善ニーズも強く、銀行は、現状の貿易金融業務を革新し、魅力的なサービスとして企業に提案することにより、企業との取引を拡大することに、大きな関心を有しています。
2. 貿易金融業務の電子化に対する考え方
2.1 貿易金融業務の構成要素
貿易業務の目的は、簡単に言えば、「輸出者と輸入者の間の契約通りに、物品と代金を交換すること」にあります。輸出者と輸入者が、直接立ち会って交換できれば何も問題ないのですが、遠隔地でもあり、それができない為、比較的信用力のある銀行が仲介しているということです。
銀行が仲介するのに、口頭だけでは不確実なので、物品の引換え請求権を書類にしたもの(船荷証券)と、代金と交換で物品を渡しても良いという条件付き請求書(荷為替手形)が存在しています。
このような仲介業務に付随して、次のような業務が存在し、貿易金融業務を構成しています。どれかが欠けても、企業のニーズを満たすことは困難です。
・輸入者は、当初契約通りの物品なら、代金を支払いますという保証業務(信用状の発行)
・輸出者が代金回収を急ぐ場合に、銀行が立替払いする業務(輸出手形の買取)
・輸入者が代金を支払う際に、銀行が資金を立て替える業務(輸入与信)
2.2 貿易書類の電子化
上記のような様々な要素で構成される貿易書類ないしは貿易金融業務の電子化を考えますと、「輸出者と輸入者間の当初契約」を、電子的にかつ標準化された形式で保持することが、大変重要であることに気づきます。と言いますのは、
・信用状とは輸出者と輸入者の当初契約を銀行が信用補完することであり、
・船積は当初契約に従って行われるべきであり、
・決済も当初契約通りに行われるべきものだからです。
この当初契約は、現状銀行が授受している貿易書類の中には登場しません。従って、現状の貿易書類の電子化を考えると同時に、併せて、当初契約の電子化を考えていくことが必要になってきます。