日本財団 図書館


実務では5、D/O発行の際に荷受人自身がB/Lを持って引換えに来るわけではなく、荷主の依頼を受けた人間(通常海貨業者)が取りに来るので、厳密に言えばその人が本当に荷受人の代わりにD/Oの発行を受けに来たのかどうかについては確認の必要があります。従ってこの問題は電子B/L特有の問題ではないことになりますが、通常荷受人が所持しているべきoriginal B/Lを持ってきているということで使者が荷受人本人から委託を受けた人間であるという一定の身分の確認が行われているため現在の実務では顕在化していないと考えられます。

 

ところでD/Oを発行する際に荷主乃至荷主の使者のpersonal Identificationを行わなくてはならないのは、電子B/Lの場合だけではなく、例えばSea Waybillの場合も同様です。Sea Waybillの場合は全て記名式となっているが、有価証券ではなくdeliveryの際に回収しない為、通常は船会社の発行するarrival noticeに受け荷主の署名を求めそれと引換えに荷渡しを行っています6。Waybillの場合はArrival noticeという紙の書類を媒介としてpersonal identificationを行っているということができます。

 

またB/Lが未着の為にL/G荷渡しを行う際にも、B/Lと引換えにD/Oを発行しているわけではないので、carrierはそれぞれの方法でpersonal identificationを行っているはずです。通常はL/Gと引き替えにB/Lを発行していると思われます。この場合も受け荷主の署名があるL/Gという紙の書類と引き替えにD/Oを発行することで、personal identificationを行っていることになる。

これらのB/Lの回収を伴わないD/O発行の場合は荷受け人の署名を本人の確認の手段として用い、さらに署名のある紙の書類を媒介にすることによって、履行補助者である海貨業者の身分を確認しているということができる。

 

電子B/Lを回収した後の本人確認の方法としてはcarrierからシステム上で確認された荷受け人にどのような方法でD/Oを発行するかが問題になり、例えば何らかの方法で暗証番号のようなものを荷受け人に送りその番号を照合することで本人確認を行うことになると思われます7

 

5 日本における実務を想定する。

6 日本荷主協会・日本船主協会発行「SEA WAYBILLご利用のすすめ」1996年4月7頁

7 "However, from the notice to the carrier resulting from surrender of the Bolero Bill of Lading, it will be clear to the carrier which User is to take delivery. A Message or exchange of Messages can then confirm delivery arrangements, which may have been previously agreed in the Carrier's terms and conditions. For example, the Carrier could send a Message after surrender informing the surrendering User where and when the goods will be available, reviewing requirements for in-person identification (such as an identification document and/or shared secret), and setting out other instructions on how to obtain a delivery order." Appendix to Bolero Rulebook Operating procedure P85

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION