1.5.4 “DELIVERY ORDER”の譲渡及び撤回
(1) “DELIVERY ORDER”の譲渡
荷渡指図書の有価証券性が認められるときは、その流通については、商法519条が適用され、指図式であれば、裏書により譲渡しうるとされていますし(手形法12条-14条2])、無記名式及び選択無記名式のものは、単なる証券の引渡しにより譲渡しうるとされています。
記名式のものも、裏書禁止文句の無い限り、慣習法上の当然の指図証券として裏書により譲渡しうると解して良いとされています。
裏書に、権利移転的効力と資格授与的効力が認められるが、担保的効力は否定されるという点は船荷証券と同様です。
荷渡指図書に裏書がなされた場合には、善意取得(商法519条、小切手法21条)が認められ、抗弁の制限の効果が与えられる(民法472条、473条)とされています。
(2) “DELIVERY ORDER”の撤回
上記の1]及び2]の“DELIVERY ORDER”の撤回は認められないとされています。所持人は、受寄者に対する引渡請求権を有しており、発行者であっても、一方的な意思表示によりこの権利を消滅させることは出来ない訳です。
3]の場合は、荷渡し依頼の撤回は可能であり、その撤回は、荷渡指図書の呈示の後であっても、受寄者による引き受けまたは受寄物の引渡しの無い限り、有効に依頼の撤回が出来るとされています。
2. 電子化における船荷証券とSEA WAYBILLとの比較考察
2.1 紙の世界における両者の差異
紙の世界では、船荷証券は、貨物引渡請求権という債権を流通証券化した有価証券であり、しかも、“(準)文言証券性”、“処分証券性”、“法律上当然の指図証券性”、“物権的効力”、“受戻証券性”等の効力を与えられていますが、SEA WAYBILLは、単なる“運送契約の証憑”に過ぎないとされています。