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(a) Mate's Receipt3やDock Receiptの電子化

これらの文書も、免責証券とされていますから、貨物の受取と交換に発行し、更に、それらの文書と交換に船荷証券を発行している限り、貨物の特定や船荷証券発行相手(荷送人)の特定に問題を生ずることはまず有りません。

 

しかし、これらの文書の電子化も進みつつ有ります。これらの書類が電子化されると、従来の物と紙との一対一の対応関係が無くなりますので、注意深く仕組みを考えておかないと、どのreceiptがどの貨物のそれであり、その貨物の荷送人(運送人が、電子船荷証券を発行する相手)は誰なのかの特定にミスを犯す虞も有ります。

 

1.5 「荷渡指図書=DELIVERY ORDER」に就いて考え方の整理

 

「荷渡指図書」(=DELIVERY ORDER)に就いての論議に、混乱が見られることがよく有ります。そして、その混乱の理由の1つが、同じ“DELIVERY ORDER”という言葉を使っていながら、実は、別の書類のことを指していることに有ることに気が付きましたので、少し整理してみます。

 

1.5.1 海上運送人と“DELIVERY ORDER”

海上運送人が、“DELIVERY ORDER"という言葉を使用する場合、通常、船荷証券が発行されている運送品につき、その引渡しを指図する証券のことを指し、運送人が、船長、またはコンテナ・ターミナル等の、自己の履行補助者に対し、運送品の引渡しを指図する一種の指図証券4です。

 

国際海上物品運送では、一つの船荷証券に記載された運送品を数人に分割して荷渡しするため、又は、目的地において運送品の引渡しを迅速に行うため、引渡しに先立って運送人が船荷証券と引換えに発行するなどの形で広く利用されています。

 

3 「Mate's Receipt=本船受取証」:船積指図書による船積にあたって、船長が荷送人に交付する証書で、運送品の種類・数量等が記載される証拠証券のこと。運送人は、これと引換に船荷証券を交付すれば良く、免責証券の一種とされる。

Dock Receiptとは、CYやCFSで貨物が引き渡される場合に発行される証書で、上記のMate's Receiptと同様の機能を持つ。

4 「指図証券」:証券上で指定された者、又はその者が証券上の記載により指定(指図)する者を権利者とする有価証券。

証券上の記載により権利者を指定する方式は「裏書」であり、従って、指図証券は裏書によって譲渡することが出来る有価証券である。日本法では、船荷証券は、「法律上当然の指図証券」とされる。

 

 

 

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