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・荷主が管理中の船社コンテナなどの機器の損害に関する損害填補義務

・これらの機器に起因する物損・人身事故に関する責任・損害填補義務

・MERCHANT PACKED CONTAINERに関し、Stowage, Securing, Closing, Sealing が安全かつ適正であることの担保・損害填補義務

・特殊貨物のProper preparationと温度の設定の義務

・危険品の通告義務

・重量物に関する表示、Proper lifting pointsなどの表示義務

・貨物の速やかな引き取り義務

などなどを規定しています。

 

1.1.5 電子船荷証券に関するルール策定と荷送人ないし船荷証券所持人の立場

上記の様な義務に就いて、(電子船荷証券の移転に伴い、)

 

・荷受人ないし船荷証券所持人が、これらの契約上の義務を引き受けることになるのか?

・荷送人のせいで生じた損害に就いても、荷受人や船荷証券所持人は責任を負うことになるのか?

・The Hague RulesのArticle IV, rule 3の

"The shipper shall not be responsible for loss or damage sustained by the carrier or the ship arising or resulting from any cause without the act, fault, or neglect of the shipper, his agents, or his servants."

という規定などは如何に働くのか?

 

などなどの問題は、電子船荷証券ルール策定に際し、よく考えておくべき、極めて重要な問題なのでは無いでしょうか?

 

1.2 紙の船荷証券が無くなることに伴う荷渡の際の危険増大の可能性

 

電子船荷証券の持つ、MIS-DELIVERYの危険性に関して、P&I CLUB1からも、度々、注意喚起が行われています。

電子船荷証券は、電子的に引渡され、荷渡しの現場には物理的には存在しませんので、実際に貨物の引渡を受けに来た者が、本当に電子船荷証券上の正当な貨物引渡請求権を有する者(又はその代理人)かどうかの確認に特段の注意を払う必要が有るというのです。

 

1  「P&I CLUB」: Protection and Indemnity Clubの略。船主としての責任及び海上運送業者としての責任などのリスクをCOVERする目的で結成された船主責任相互保険組合のこと。

 

 

 

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