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3.1.2 普及率を高めるために

一般にEDIを開始させるのは「説得」と「強制」だと言われます。

前者は、EDIのメリットを訴え、採用を促すのですが、EDIのメリットに対する考え方が異なるばかりでなく、享受し得るメリットも開始段階では必ずしも等しくありませんので多くの場合、一方が他方に押し付ける(又は強引にお願いする)ことになります。

強制と言うと響きは悪いのですが、歴史的には業界のリーダーが「今後当社と取引する場合はこの方式のEDIによるべし」と宣言することから開始されたケースが多いのです。しばしば“EDI or die”と言う言葉で引用されています。

強制力が最も強いのは、言うまでも無く行政です。わが国の自動通関システム、NACCSが高い普及率を誇っているのは当然です。さらに行政手続きは標準化を進めやすい、という特徴も持っています。自動通関システムは、税関事務の合理化に寄与しておりますが、民間側ユーザーにも処理の迅速化等を通じてメリットを返している、と言えます。

東南アジア諸国で推進されている半官半民のネットワークセンターを設置し、民対官の様々な手続きを一元化して行えるようになれば、電子政府の実現と同時に、民間ユーザーの意識が根本的に変るのではないでしょうか。この点では後述する香港の例が参考になると考えます。

 

3.2 電子化を促進するために克服すべき問題

 

貿易電子化の実現を早めるためには、電子化を促進するための政策を推進するとともに、障害と思われる事態を改善して行くことが望まれます。

 

3.2.1 各国法制の違い、電子商取引条約の不存在

昨年、二つの法律が公布され、わが国も電子商取引時代の幕が開いた、と言えそうです。以下にその法律をご紹介します。しかし、貿易は国境を越えて行われるので、国内の法律制度が充実したことのみをもって自由に貿易手続きが電子化できる訳ではありません。

電子署名法が目的とするところは、わが国で制度を創設し、相手国との間で相互承認の輪を拡大するところにも存します。

 

3.2.1.1 電子認証法(電子署名及び認証業務に関する法律。法律第102号)

・電子署名に「実印」と同じ法的効果を与えます。(同法第3条:本人による電子署名が行われている電磁的記録は、真正に成立したものと推定する。)

 

 

 

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