2.2.3 法的枠組み
TEDIでは、ユーザー相互間のEDI協定書、RSP約款、CA約款の3つで構成される約款群が一体として電子商取引の安全性を高めるツールとして用いられます。
電子商取引を行うための国際条約は存在していないので、契約による合意形成で主として以下の点を明確にしておく必要があります。
・取引を電子的におこなうこと(EDI協定)
・証拠が電子的である事を理由として争わない。
・特定の技術的基盤に基づく電子署名を利用し、合意する認証機関の証明を利用する。(電子署名協定)
・一つの取引においては特定のRSPを利用し、その約款に従う。
2.2.3.1 EDI協定書
BOLEROのような会員制の仕組みも考えられる、としながらも最終的な姿は実際の契約関係者相互の実体契約(Underlying Contract)を下敷きとする「二者間契約の連鎖」とされています。
その結果生じる問題について、以下のような手当てを行っています。なお、EDI協定書自体が実際の契約関係に基づいており、国連勧告第26号、ICCのURGETS(案)と整合しています。
契約の手続きが複雑になる:実体契約の内容や方式が異なる以上、個々の契約内容に差異が生じる可能性がありますが、EDI協定書の一部(かなりの部分)を必須条項として、これに変更を加えてはならないとされています。その上で、EDI協定書自体をWEB上、又はRSPに置き、契約する企業はこれを参照して一枚の契約書にサインすれば済むようになっています。
2.2.3.2 権利移転の考え方
船荷証券を電子化する、とは紙の船荷証券とできる限り同一の機能を実現する事を目的としますが、まったく同一にできる訳ではありません。逆に紙の船荷証券であれば必要の無かった事をあえて行う必要も出てくると思われます。
BOLEROがTitle Holder、Bearer Holder、Consigneeなどを細かく分類しているのは、この辺の問題に備えているため、と見る事ができるでしょう。
TEDIでは、権利者を、所有権者、占有権者、その他の権利者(質権、譲渡担保権者、その他)と3つに分けて定義し、次の者に権利を移転する際にRSPが管理する「シップメントインフォーメーションテーブル(Shipment Information Table)」に書き込む事となっています。