日本財団 図書館


ただ、年間利用料金が高い(エンタープライズの場合15万ドル)割に提供されるサービスが十分とはいえない、との評価もあるようで、今後どのような展開になるか注目して行く必要がありそうです。

 

2.1.2 標準化

標準化については当初否定的でしたが、私達の批判を受け入れ、XMLによるメッセージ群を精力的に開発しています。インボイスや船荷証券(電子船荷証券と呼ぶ事が本来の意味で正しくない事は、池山論文、及び早坂論文を参照。)と共にBOLEROの参加企業に銀行が多い事もあり、銀行用のメッセージ(文書)を多く開発してきたのですが、昨年のサイボスでこれらのメッセージは標準とは程遠い、との批判があったとのことです。今後の改良がどのように行われるのか、注目して行きたいと思います。

 

2.1.3 法的枠組み

従来報告している事ですが、BOLEROはオペレーションを行う組織(BOLERO International Ltd.)とユーザーの会員で組織される組織(BOLERO Associations Ltd., BALこれは非営利法人組織となっています)を分離し、BALがすべての会員から代理権を取得し、新規会員がBALと契約を締結するとすべての既存会員と契約を締結した事になる、との構成を採っています。

 

この方法は、後述するTEDIの構成と比較すると次のような特徴を持っています。

・加入の際の手続きが簡単であり、BALとの契約を一つ結ぶだけで済む。

・相対でEDI協定書を交換する場合と比較すると、直接の契約当事者以外の者同志がどのような契約を締結しているか、等と言った事に煩わされる事が無く(なぜならBALはすべてのユーザーと同じ契約を結ぶと信じられるので)整合性がある。

・権利の移転について、すべてのユーザーがBALを介して契約関係にあれば、TEDIの言う「第三者のためにする契約」云々を議論するまでも無く契約関係を擬制することができる点は優れています。

・英国法で問題となりそうな点が、この仕組みにおけるBALの立場が双方代理となり、契約が無効とされるのではないか、との懸念です。しかし、英国を本拠とするBOLEROが提案しているので、恐らくは検討済みではないかと思われますが、確認したい点の一つではあります。

 

いずれにしても国境を跨ぐ貿易手続きの殆どをEDI化しようとする壮大なプロジェクトであり、時間をかけてその進展を見守る必要があるでしょう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION