1.1.2 生産、販売、流通の速度、頻度が増大し、小口化が進んでいます。
メーカーは生産コストの極小化を求め、他方では在庫圧縮を目指しています。従来は輸入品であれば、港頭あるいは内陸に在庫を構え、SCM化の進んだ国内品と合わせて出荷することが普通に行われていましたが、輸入品にも国内品と同等の木目細かい物流・在庫が求められるようになっています。
国内品も輸入品も一元的に管理するためには、当然すべてをデータで処理する事が必須要件となります。大手荷主は、自ら、あるいは物流業者の協力を得てデータによる一元管理を既に達成している場合が多いと思われますが、そのトレードチェーンの何処かで情報処理が紙によらざるを得ない部分があると(例えば通関処理)、それを誰がおこなうにせよ其処に負担がかかっていることは間違いありません。
1.1.3 輸送途上の、いわゆる洋上在庫までをリアルタイムで認識したい。
コンテナ船が大型化、高速化し、運航スケジュールが確実になるに伴い、大洋を航行中のコンテナ船に積まれた貨物も移動中の在庫と考えるようになり、到着予定や数量の連絡が厳しく求められるようになりました。
そのため、従来の手書きによる紙の書類による処理では間に合わない。
電子化が急務だが、以下に述べる問題があり、出来るところから進めざるを得ない。
1.1.4 電子化する上で、船荷証券特有の問題(後述)があり、これを回避するためSWB(Sea Waybill)を利用するなどしています。
先に触れましたが、最近SWBの使用比率が上昇しているのは、本支店間取引が増大していることもありますが、運輸業者特に複合運送事業者の情報力を利用していることも理由と考えられます。
1.1.5 東南アジア諸国では、政府あるいは政府関連機関が音頭をとって「ワンストップ」サービスの提供を行っており、
貿易関係者は1箇所のサービスセンターにアクセスして複数の行政サービスを受ける事が可能となっています。物理的な物流環境のコスト高も問題ですが、情報環境整備の遅れもコスト高に跳ね返り、全体としてわが国の競争力を削ぐ事に繋がっています。国連の調査によれば、貿易に関係する事務処理コストは貿易額の7%に達するとのことであります。また、もし電子化できた暁には紙の書類を作成し、内容を確認し、送付する場合と比較すると、手間が省け、正確性が増し、コストが軽減できることが競争上の優位に直結する、との調査結果が既に出ています。(広く普及し、電子化率が一定限度を超えたときには、という前提は付くのでしょうが)