日本財団 図書館


II. ITインフラと電子商取引

 

1. インターネットEDI

 

インターネット等、開放型ネットワークの普及にともない、広範囲における企業間情報交換や情報共有によるECの実現が可能になってきています。一方、広範囲の企業間情報交換・共有においては、物理的なネットワーク接続に加え、企業間のビジネスを遂行するためには、情報の意味と活用についてEC当事者間で正確に相互理解されなければなりません。これらを実現するために、従来よりEDIの標準化が進められてきました。

しかしながら、従来のEDIにおいては、標準化されたデータを静的に交換するにとどまり、当該データのビジネス・プロセスにおける扱い方については、当事者間で別に協議して決めているのが現状です。さらに、従来型の標準EDIにおいては、EDI実現のための特別な情報表現と、それをアプリケーションに変換するためのEDI固有のシステム環境を準備する必要があり、費用と技術の点から中小企業を含めての広範囲な普及には限界がありました。

そこで注目を浴びたのがインターネットEDIです。インターネットをEDIの通信基盤として利用する方法には次の3通りの方法があります。

 

1.1 ファイル転送型

 

FTP(File Transfer Protocol)をベースにしたファイル転送型EDIは、既存のEDIネットワークで行われているのと同様に、データをファイル単位にまとめてバッチ形式で送受信する方法です。VANサービスによる共同利用型EDI方式を、利用者のアプリケーション・プログラムになんの変更もほどこさずに移行が可能となります。

 

1.2 電子メール型

 

インターネットで通常使用されている電子メールもEDIのメッセージ送受信に使用できます。電子メールで使用されるSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)プロトコルは、メールの文字電文しかあつかえないため、EDIを送る場合はメールの添付ファイルとして送ります。電子メールの添付ファイルはMIME(Multipurpose Internet Mail Exchange)のカプセルの中に入れられるため、EDIデータの内容について制限はなくなります。もちろん、EDIは一定のシンタックス・ルールに則って作成されている構造化データであるため、メールの添付ファイルの内容は、その形式に従っていなければなりません。なお、最近EDI用のMIME標準が提案されており、これによればMIMEアプリケーション指定としてEDIFACTが選択できるようになっています。すなわち、MIMEのアプリケーション識別を認識して自動的にEDIFACTトランスレータを起動させるようなことができます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION