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3.3.2.4 署名のクロスボーダー認証:認証機関に関する国際条約の準備

図2の真ん中の上方に、5]電子署名及び認証機関に関する国際条約の準備と表示しました。わが国では平成13年4月から「電子署名及び認証業務に関する法律」が施行されることになっています。これによって日本国内における電子メッセージのセキュリティの側面が補強されて、電子商取引が促進されるものと期待されます。現在、世界各国において電子署名及び認証機関に関する法律の施行または検討が行われています。しかし、国際間における電子商取引を実施するためには、ある国の認証機関が発行した電子証明書を他の国の認証機関によって確認されなければならないので、各国の「電子署名及び認証機関に関する法律」を調査研究して、これに関する国際条約を準備する必要があります。

 

4. むすび

 

国際間の貨物輸送技術は著しく進歩し、これによって荷送人が運送人に貨物を引渡す場所・方法が大きく変化しているにも拘わらず、貿易関係者は旧輸送形態の取引慣習に大きく依存しており、このために危険・費用負担に関する幾多のトラブルを引き起こしているのが現状です。現行のインコタームズは、CIF条件の場合でも、運送書類は流通性の船荷証券だけでなく、非流通性の海上運送状でもよいし、また当事者が合意したときは、これらの書類と同等の電子メッセージで代替することを認めています。個品運送貨物はほとんど海上運送中に転売されずに仕向地へ運送されています。国連勧告第12号は、海上運送書類の合理化のための方策を勧告しています。また、昨年3月に、国連勧告第5号が2000年インコタームズの改訂に伴って、改訂されました。インコタームズも、船荷証券に代えて海上運送状の使用を勧告し、洋上での転売が意図されていない場合には、この書類は全く満足されるものであることを強調しています。また、運送中の転売が必要である場合には、CFR条件とCIF条件の下で、売主が船荷証券を提供する義務はこれまでどおり守られなればならないが、船荷証券を提供する義務が免除される合意がある場合、または船荷証券の提供が要求されない場合には、むしろCPT条件またはCIP条件を使用することを勧めています。

電子貿易取引において、流通性書類のEDI化の商業的実施可能性を技術的・法的側面から取り組んできました。この成果は大変貴重なものであり、今後の電子商取引の発展に寄与するものと確信します。しかし、電子情報社会における貿易取引は、従来の貿易取引とは全く異なるメカニズムによって一層の効果を発揮するものと思います。一日も速やかに安全・確実な電子貿易取引ルールが構築されることが期待されています。

 

(朝岡良平)

 

 

 

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