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船荷証券以外の運送書類は、最初の2つの機能を充たしているが、仕向地における物品の引渡を支配したり、また、買主が転売先に紙の書類を引渡すことによって輸送中の物品を転売することができない。その代わりに、他の運送書類の場合には、仕向地で物品を受取る権利を持つ関係者を指名することになる。船荷証券を所持することは、仕向地で運送人から物品を取得するために必要であるという事実のため、実際に電子的通信手段による代替をとりわけ困難にしている。

船荷証券は、特有の法的性質にもかかわらず、近い将来、電子的手段によって代替されると期待されている。1990年インコタームズは、既にこのような期待される発展を適切に考慮している。売主の義務(A8)項によると、紙による書類は、当事者が電子的に通信することに合意している場合には、電子メッセージによって代替することができる。このような電子メッセージは、関係当事者に直接、またはVANサービスを提供する第三者を通じて、伝送されうる。第三者によって提供されるこのようなサービスの一つは、船荷証券の相次ぐ所持人の登録である。いわゆる、BOLEROのサービスのように、かかるサービスを提供するシステムは、1990年の電子式船荷証券のためのCMI規則や電子商取引に関するUNCITRALモデル法の第16条〜第17条によって立証されるような適切な法的規範と原則による更なる支持を必要とするであろう。」

 

3.2.2 新しい輸送技術の進歩

第2の理由として、輸送革命といわれた輸送技術の進歩、特にコンテナによる貨物のユニット化、複合一貫輸送、近距離海上輸送におけるRO/RO輸送等を挙げることができます。コンテナ輸送や国際複合輸送が大量貨物の高速輸送を可能にし、貨物の受渡し業務に本質的な影響を与えたことは、ここに改めて説明するまでもありません。そこで、1990年インコタームズでは、従来の「運送人渡条件」(Free Carrier; FRC)を書き改めて、あらゆる種類の異なる輸送形態またはこれらを結合した複合一貫輸送に適するような汎用取引条件(FCAと改称)にするとともに、1980年版の「鉄道渡条件/貨車渡条件」(FOR/FOT)および「空港渡条件」(FOB Airport)を削除し、新しく関税抜き持込渡条件(Delivered Duty Unpaid; DDU)を追加したのです。

1990年インコタームズは、コンテナ輸送や複合一貫輸送の普及により、新しい定型取引条件の利用者の便宜と必要性を考慮して、流通性船荷証券に代わる非流通性運送書類の使用を勧めています。これは、国連勧告第12号に引用されています28。この考え方は2000年インコタームズにも引き継がれて、「序論」に次のように述べられています29

 

28 RECOMMENDATION No.12/Rev.1, paras.30〜32.

29 2000年インコタームズ、「序論」20.船荷証券に代わる非流通性の運送書類。

 

 

 

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