そこで、JASTPROも、流通性書類の問題に着手したのです。しかし、1996年9月会期においてリエンジニアリング計画が承認され、翌年から現行のCEFACTの下に国際電子商取引へ移行するための諸問題解明に取組むことになり、従来のWP.4の作業計画が修正される結果になりました。
2.5.2 欧州委員会の3つのプロジェクト
CMI規則は流通性船荷証券のEDI化に取り組んだ最初の国際規則でありますが、この規則に基づいて流通性船荷証券のEDI化の実験を試みたのがBOLEROプロジェクトです。ヨーロッパでは、単一市場の導入に伴い、人・商品・資本・サービス・情報などの自由な移動が実現し、その全域における事業経営の統合が進められていますが、反面、業務管理面で複雑さが増幅されてきているとの指摘があります。そこで、EU加盟国においては、業務管理をより効率的に行うために、さまざまな分野でEDIおよび関連技術が急速に採用されつつあります。
このような状況の下に、欧州委員会は、EU加盟国間において最大限にEDIの導入を達成し、その導入に伴って変更されることとなる取引慣行に関する法的諸問題を検討するために、資金を提供して、1]MANDATEプロジェクト、2]BOLEROプロジェクト、および3]EDIBOLプロジェクトという3つのプロジェクトを実施しました。
1] MANDATEプロジェクトは、「流通性書類および商取引の電子的管理」(Managing Negotiable Documents and Administrating Trade Electronically)の略称で、「EDIによる流通性書類の電子的代替物」を確立するための法律的、商業的および技術的方法の調査研究を実施しました22。
2] BOLEROプロジェクトは、MANDATEプロジェクトの成果に基づいて、電子式船荷証券の実用可能性に関するパイロットテストを実施しました23。
3] EDIBOLプロジェクトでは、電子的環境の下で行われる船荷証券の譲渡に関連する法的諸問題を検証し、EDIの進展を妨げる法的障害を除去する解決策の調査研究が行われました24。
22 MANDATEプロジェクトについては、日本貿易関係手続簡易化協会『平成8年度EDI制度手続簡易化特別委員会報告書』(1997年3月刊)297〜310頁を参照されたい。
23 BOLEREOプロジェクトについては、前掲書、291〜295頁を参照されたい。なお、BOLEROプロジェクトの概要および評価については、『平成9年度EDI制度手続簡易化特別委員会報告書』(1998年3月刊)を参照されたい。
24 EDIBOLプロジェクトについては、前掲平成8年度報告書、295〜296頁を参照されたい。