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伝統的な書面形式の書類のシステムを、EDI技術を利用したシステムに切り換える方法として、1]実質的アプローチと2]機能的アプローチの2つがあります。前者は、関連する法律規制の改正を行わないで、現行法の下で紙の書類が有する機能を部分的に、できるだけ近似したものを電子的に模倣しようとするものであり、後者は、EDI技術の導入・普及を促進するために必要な法律改正・制定を行いながら、伝統的な紙の書類を電子的な書類に完全に置き換えようとするものです。一般に、伝統的な紙の書類をEDIメッセージに置き換える場合、書面性、署名、原本性、証拠能力などが問題になります。

 

 

1.4 海上運送書類の手続簡易化のための方策

 

1.4.1 海上運送状導入の背景

1974年、SWEPRO(スウェーデン貿易手続簡易化機関)が、国連ECE/WP.4に対して、Air Waybillと同じ考え方に立つNon-Negotiable Liner Waybillの導入を含む、伝統的な海上運送書類の手続を改善するための提言書を提出しました。ICS(国際海運会議所)は、この提言書が検討するに値するものであることを認め、この提言書の趣旨に基づいてICSの提言書を作成しました。NCITD(米国貿易手続簡易化機関)もオリジナル一通のみの船荷証券の使用に関する提言書を準備しました。一方、SITPRO(英国貿易手続簡易化機関)は、長年にわたる研究の結果、“UK Standard Liner Waybill”を開発・発表しましたが、英国船主協会に属する船会社11社が1977年1月からLiner Waybillの使用を開始しました。

一方、国連ECE/WP.4は、1975年9月会期で「海上運送書類の合理化」を作業計画の優先リストに登録し、上記のICSの提言書を審議する手続に入りました。1979年3月会期のWP.4の専門家委員会に、ICSの改訂案が提出され、次いで、これがWP.4の総会で採択され、国連勧告第12号として公布されました13。この運送書類は、当初“Liner Waybill”または単に“Waybill”と称していましたが、“Air Waybill”と区別する必要上、国連勧告第12号に使用されている“Non-Negotiable Sea Waybill”に改められて今日に至っています14

 

13 UN/RECOMMENDATION No.12, "Measures to Facilitate Maritime Transport Documents Procedures," TRADE/WP.4/INF.61, March 1979.

14 ICCの「荷為替信用状に関する統一規則および慣例」(1993年改訂版) 第24条は"Non-Negotiable Sea Waybill”について規定しています。

 

 

 

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