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第1部 総論

 

I. 流通性書類のEDI化への取組み

―電子貿易取引ルールの模索―

 

はじめに

 

平成11年10月に、わが国においては、EDIFACTを採用した新システムとして、海上貨物通関情報処理システム(Sea-NACCS)および港湾EDIシステムの運用が開始されました。平成12年4月から輸出入電子申請システム(貿易管理オープンネットワークシステム;JETRAS)の運用開始により、外国為替及び外国貿易法(外為法)に関する輸出入手続きのほとんどすべてを電子的に行なうことが可能になりました。数年後には、JETRAS、NACCS、港湾EDI等の行政システム間の連携により、スムーズな輸出入手続きが可能になると期待されています。また、平成13年3月から簡易申告制度が導入されるので、これによりペーパーレス通関手続きが(一部であるが)実施されることになります。一方、貿易取引関連業界ではBOLEROやTEDI(貿易金融EDI)が業務を始めたので、輸出入手続だけでなく、国際的なBtoB電子商取引も急速に実施されることになると予想されます。

けれども、国内外を問わずBtoB電子商取引が拡大するためには、大企業だけでなく、中小企業も参加できる環境を整える必要があります。情報技術(IT)は文字通り日進月歩の勢いで発達しているので、一般企業(特に、中小企業)は、インターネットや電子メールのように、簡単な手順で、低廉かつ安全なオープンネットワークシステム上で電子商取引を実施できることを期待しています。米国においても、EDI化率は、大手企業の95%に対して、中小企業ではわずか2%に過ぎないと報告されています。そこで、多数の中小企業が容易に参加できるような電子商取引を実現するためには、技術的側面からだけでなく、法的側面からの環境整備が急務と考えられるのです。例えば、グローバルレベルの法的枠組みへの取組みとして、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)の「電子商取引モデル法」(1996年)および「電子署名モデル法案」、世界貿易機構(WTO)の「グローバルな電子商取引に関する宣言」などがあります。

本稿では、現行貿易取引のメカニズム、海上運送書類の手続簡易化、運送書類のEDI化への取組み等これまでの流通性書類のEDI化への取組みの経緯を概観し、電子貿易取引ルールを構築するためにCEFACT/LWGで取組んでいる課題について述べます。

 

 

 

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