日本財団 図書館


優先順位の一番目の交換協定書に関するプロジェクトは、上記のとおり、国連ECE/WP.4の第41回会期において「国連ECE勧告第26号」として採択され、同年9月開催の第42回会期において、「国連貿易データ交換指針書」第3部に編入されましたので、上記1]及び2]は終了しました。また、4]の件に関するアンケート調査も、約20ヶ国からの回答を分析中であるということで、残るのは3]と5]だけになりました。

一方、WP.4は、1996年9月会期で承認されたリエンジニアリング計画に基づいて、97年3月から、国連CEFACTと改め、これまでのWP.4の活動計画の一部が継続して進められることになりました。ところが、97年9月開催の国連CEFACT第2回総会において、法律問題ラポータは、最近の電子商取引の発達およびインターネットの普及とEDIプロセスとのインターフェース問題などを考慮して作業計画の見直しを行い、これに基づいてCEFACT/LWGの改訂作業計画に包含される項目と除外する項目を提案しましたが、除外された項目の中に流通性書類が含まれていました。

 

1.2.2 電子式流通性書類の商業的実施可能性の究明

将来の国際電子商取引においては、現行の貿易引メカニズムがそのままの形で継承されることはないと思われませんが、前記のとおり、売買契約または運送契約上、何らかの形で電子式流通性書類が必要になるものと考えられます。今日、EDIを巡る世界の諸情勢は国際電子商取引の実施に向かって急速に展開しているので、わが国も、国連CEFACTを中心にグローバルな形で進められている電子商取引と貿易手続簡素化への取組みに積極的に参画し、国際的な企業間電子商取引時代への円滑な移行に必要な法律制度や新しい貿易取引環境の整備等を講じることが緊急の課題であると考えます。そこで、本特別委員会は、基本的に、電子式流通性書類に基づく貿易取引の商業的実施可能性を究明することとし、まず貿易取引における流通性書類を巡る諸問題とそのEDI化を検討しました。

 

1.2.3 BOLEROプロジェクトの評価

さて、BOLEROプロジェクトは1995年に終了しましたが、このプロジェクトとは別に、(同名の)ボレロ・システムの商業的実用化を目指して、ボレロ協会(Bolero Association Ltd.)が1996年にロンドンに設立されました。また、SWFT1およびTT Club2の協力により、Bolero Project Team(現在、Bolero International Ltd.)を設立し、このチームが「業務要件仕様書(BRS)」、「サービス機能概要」および「ボレロ・サービス説明書」という資料を作成しました。

 

1 国際銀行間金融通信協会(the Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication s.c.)。SWIFTは、1973年5月、欧米15ヶ国の293銀行によってベルギーに設立された非営利法人で、1975年5月に稼働。1998年の時点で、175カ国約6,500の金融機関が参加している。SWIFTのシステムは、金融機関相互間のネットワークであるが、決済データの交換を行うだけで、個別的な顧客(企業)の決済は、別途、コルレス銀行間の相対もしくは各国の決済システムを通じて行っています。

2 Through Transport Mutual Insurance Association Ltd.世界最大のコンテナ保険業者で、世界のコンテナの75%をカバーしている。1970年に設立され、大手のフレートフォワーダー、コンテナ船運航会社等を中心に、会員数は約1,000社です。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION