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1.1.2 電子式流通性書類に関する調査

国連ECE/WP.4の法律問題ラポーター・チームは、「モデル交換協定書」の作業が終了したので、「流通性書類のEDI化に関する問題」の検討作業に着手しました。1996年5月にブラッセルで開催された法律問題ラポーター・チームの会議で、電子式流通性書類に関するアドホック・グループが、EUを中心として実施されている各種プロジェクトの進捗状況について報告しています。その中に、1]ICCの電子式信用状に関するE-100計画、2]SITPROの電子式信用状に関する提案、3]BOLERO計画、4]UNCITRALの流通性書類に関する作業計画等が含まれていました。1996年9月に開催されたWP.4第44回会期において、法律問題ラポーターは、このような経過報告を行っただけで、本課題の具体的な作業内容には一切言及しませんでした。

本委員会は平成8年度に、WP.4における新規課題にも対応して、流通性書類の検討作業に着手しました。今日の貿易取引の諸手続において、書類の役割が極めて重要であることは、ここに改めて述べるまでもありません。これらの書類の中には、手続や事務処理に必要なデータを記載するだけのものもありますが、一部の書類は、単にデータを記載するだけでなく、物品や価額に関する権利を象徴し、このような権利の譲渡に使用されています。将来の国際電子商取引においては、現行の貿易取引メカニズムがそのままの形で引き継がれることはないと思われますが、現行の貿易取引では、海上運送中に積み荷の転売を行う場合、代金支払いを確保するために船積み後の物品の処分権留保を行う場合等に、流通性船荷証券が重要な役割を果たしているので、電子貿易取引においても、何らかの形で電子的流通性運送書類が必要になるものと考えられます。そこで、本委員会は、流通性書類のEDI化に係わる問題解決への具体的な検討取組みを進める糸口を捉えるために、まず国連ECE/WP.4その他の機関において進められている各種プロジェクトをフォローすることにしました。平成8年度は、欧州委員会が推進しているTEDISプログラムの下に実施されたBOLEROプロジェクト、その他のプロジェクトに関する情報を収集するとともに、特にMANDATEプロジェクトの最終報告書を検討しました。

 

1.1.3 平成8年度報告書の主要内容

第1編・EDI協定書関係(省略)

第2編・流通性書類関係

第1章 序論

I. 流通性書類に関する調査・研究

II. 特別委員会における調査・研究

 

 

 

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