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2.3 水力学的手法による油流出低減効果の検証

2.3.1 水力学計算の基礎式

油流出現象はタンク液面と海面のヘッド差による1次流出と、油と海水の密度差による2次流出に分けられる。2次流出は船側損傷時の1次流出終了後に破口下部に残った油が密度差により海水と置換することによって起こる。もし、この2次流出時に波浪があれば、置換は波浪の影響によって加速されることになる。即ち、この場合2次流出は密度差による流出と波浪による海面ヘッドの変化に伴なう流出との複合現象となる。

タンク液面と海面のヘッド差による1次流出において、流出速度Q1は次式で計算できる。また、この式は2次流出時の波高のヘッドによる流量および損傷タンクと移送タンクの液面ヘッド差による移送流量の計算にも使用できる。

005-1.gif

油と海水の密度差による2次流出の流出速度Q2は、堰を越える流れの基礎式を応用して次式で計算できる。

005-2.gif

ここでb:波高の幅(m)

h:波高の高さ(m)

Psw:海水の密度(kg/m3)

Poil:油の密度(kg/m3)

 

2.3.2 試設計移送配管の効果の検証

図2.2.1〜図2.2.3に示した3船型の試設計移送配管により、損傷した貨物タンクの油をバラストタンクに強制移送した場合の油流出低減効果を前記の基礎式に基づく水力学的手法により解析した。

座礁による船底損傷と衝突による船側損傷を想定し、破口の大きさは両ケースとも1m2(1m×1m)とし、船側損傷は1/2喫水の位置に生じるものとした。移送能力については、移送管の口径を500φ 750φ 1,000φの3ケースを考えた。

損傷タンクと移送タンクは表2.3.1および表2.3.2に示すように選定した。船底損傷の場合は移送管が接続されている両舷のバラストタンクに、船側損傷の場合は損傷タンクと逆舷のバラストタンクに移送することとした。

 

 

 

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