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2] 「超高遠ROROフェリー」

Fig.9に示す各車両甲板室の後部には、それぞれ2つのランプゲイト(一方は乗船用、他方は降船用)を設け、第1車両甲板室(Fig.9(a)参照)は有効高さ3.Omで、例えば、8mトラック(8t換算)を153台収納可能、第2車両甲板室(Fig.9(b)参照)は有効高さ3.8mで、例えば、8mトラック(8t換算)を82台、12mトラック(20t換算)、大型バス等55台を収納可能とする。なお、第1車両甲板室には、普通車も収納でき、その場合、例えば、普通車(5m、5t換算)144台と8mトラック(8t換算)を65台程度を収納できる。

最上層には2,000m2程度の旅客収容スペース(高さ2.4m)を確保し、旅客700名(一等50名、特別二等100名、二等550名)を収容できるようにし、その旅客設備は機能本位として簡素化し、二等席はリクライニング式の椅子座席とし、特別二等席には簡易な事務ができる程度の備品を設ける。なお、両船共に載貨重量(Table 2、3参照)とスペースに充分余裕があるので、V型高速ディーゼル機関の排ガス浄化装置を別途開発して搭載することが可能であり、排ガス対策には比較的容易に対処できるであろう。

 

6.6 推進プラント

電気推進方式は、大容量機が製作可能で、かつ厳しい環境条件に耐え保守管理が容易な無整流子電動機方式(交流)が最適であろう。1)この電気推進方式の採用により、船体設計上の自由度が顕著に向上し、一般配置上の利点が大きくなり、広範なデッキスペースを無理なく確保することができる。また、効率の高い二重反転式螺旋推進器を電動機と直結させて大出力で能率よく駆動させることができる。そして、比較的簡易な制御内容で、旋回内傾斜を操作性よく実現することができ、超高速域でのすぐれた運動性能と、搭載車両の安定保持と、安定した乗り心地を確保することができる。さらに、没水体またはストラットに設けたサイドスラスター(図示省略)と共働して速やかな離接岸が可能となる。

 

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Fig.10 車両乗降方式

 

6.7 車両乗降方式

両船の車両乗降方式は、ターンテーブルなしの高能率なUターン方式とする。例として、「超高速ビジネスフェリー」の場合について説明すると、Fig.10に示すように、地上側の付帯設備として、第3車両甲板室の船尾に設けた2つのランプゲイトを接続させるための地上レベルの2連式のランプウェイを配設すると共に、その両側に、各二本のスロープウェイを、それぞれ第1車両甲板室及び第2車両甲板室に対応する段違いの高さに架設し、その各端部に、それぞれ、はね上げ式のランプブリッジを設ける。

上述の地上レベルの2連式のランプウェイは油圧式として潮位の変化に応じて上下位置を調整できるようにする一方、各スロープウェイの端部に設けるはね上げ式のランプブリッジは電動式として、常時はその先端を上方に向けてはね上げておき、着桟時にのみ先に展開させた第1車両甲板室及び第2車両甲板室の各ランプゲイトの上にその先端をそれぞれ降下接続させるようにする。

このような構成により、地上側に広いスペースを要することなく、概ね10〜15分以内に全車両の乗船または降船を完了することができる。なお、「超高速ROROフェリー」の車両乗降方式は、「超高速ビジネスフェリー」と基本的には同様であり、図示と説明を省略する。

 

6.8 抵抗推進性能

3列の全没型水中翼を、翼列干渉2)が適度に抑制される程度の間隔をおいて両没水体間に架設し、適切なfoilborne率を設定することにより、没水体およびストラットからなるSWATH部分の超高速域における抵抗推進性能の安定化を図ることができる。

 

 

 

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