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典型的な例がPT. Pan United Indonesia社であり、アジア金融危機の初めの1997年に企業を設立する際に、これらの機会を完全に利用した。バタム島の南西海岸に位置するタンジュンウンチャンに理想的な用地を選び、若手の中等教育卒業者を労働者として雇用し、大学及び科学技術専門学校からの新卒者を中等レベルのエンジニアとして雇用した。初期の段階では、建設作業だけが親会社の監督の下に地元で行われ、エンジニアリング及び材料調達はシンガポールで親会社が行った。プログラムを賢明に遂行したため、22,000TLCの浮きドックの建設を含めた第2段階を計画よりも早く行えるようになった。現在一部のエンジニアリング作業、材料調達及びマーケティング活動はすでにバタムで行われている。

PMA造船所の一般的な発展は、このような形をとっている。造船所の活動は以下の通り2つのグループに分けられる。:

・第1グループは、全能力に占める船舶の修繕及び乾ドック入れ作業が平均65%で、船舶の改造を含めた造船活動が残りの35%である比較的大規模な造船所である。

・第2グループは、バージやタグボートの建造を中心に行っており、修繕活動は非常に限られたものしか行っていない比較的小規模な造船所である。

・造船所は修理作業を受注する際に非常に選別的で、外国船舶が注文を占めており、インドネシア国籍船がこれらの造船所で修繕又はメンテナンスを行うことは非常に少ない。これらの造船所は、修繕及び造船について国際市場志向である。

・しかしながら、このような状況はPMDN造船所には当てはまらない。PMDN造船所は、外国の親会社の支援なしに完全に自社で事業を行わなくてはならない。PMDN造船所が自由貿易地域に設備と共に位置していることを除けば、インドネシアの他の造船所と同様の取り扱いである。これらの差異は、古いPMDN造船所がPMA造船所と同程度の発展及び進捗状況を保っていない理由の一つと考えられる。

・PT. Palma Progress Shipyrad社は、1990年に設立された最大のPMDN造船所であるが、BSA加盟造船所の中では第2グループに位置する。同造船所の活動は、PMA造船所と同程度に活発である。市場志向は国内・外国の双方である。同造船所の顧客の大多数は、貨物又はフラットトップバージを利用して石炭、材木及びその他の商品を輸送する国内及び外国企業である。

・これらの造船所には非常に重要な共通点があると考えられる。それは、経営陣の率直で開放的な考え方である。PT. Pan United Indonesiaを訪問した際に案内役をしてくれた管理職は、造船所全体を見せながら説明してくれ、造船所の改善に必要な意見や批判を聞く姿勢があった。PT. Palma Progress Shipyradでも同様で、同造船所見学中にCEOは「バタムでは開放的な考え方をもたなければ長く存続できない。バタムの造船所管理では秘密を持つことができない。」と述べた。

 

 

 

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