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3.3 インドネシア造船業に与える影響

 

PMDN、PMA共に、バタム及びカリマンの造船所の存在は、造船業、また特に船舶修繕業における国内能力を大幅に増加させた。これらの造船所は新しい市場を創り出したため、インドネシアの他の島々にある造船所の仕事量は減少しなかった。バタムでの修繕及びメンテナンスの費用は、旧来の造船所よりも高価なだけでなく厳格な支払条件が付されている。しかし、これらの造船所は同等の品質をより早い引渡し期間で提供している。

雇用方針は、インドネシアの全てのレベルの学校からの新卒者を雇用し、英会話を含む必要な訓練を提供している。これらのプログラムはインドネシアの労働者の品質を高めるだけでなく、開放的な雇用機会も提供している。このような方針は、旧来の造船所のような労働移動問題を引き起こさない。

つまり、バタムの造船所の存在はインドネシアの造船業及び船舶修繕産業にとって価値のある資産である。

 

3.4 インドネシア造船業の概要

 

インドネシアは、島国としては非常に残念なことに、新造船市場を未だ創出できていない。商船は、外洋航行船及び島内間船共に老朽化してきている。財政的に弱体な海運事業者にとっては、もし船舶の代替及びトン数の追加を希望する場合、現実的には中古船を購入せざるを得ない。このことから、インドネシアの市場は船舶のメンテナンス及び修繕業務が主体であり、新造船市場は潜在的なものでしかないことがわかる。

3.4.1 上記のことから造船業が修繕活動に集中していることがわかる。国内船舶はトン数が小規模化している。もしも状況が改善されなければ、改良、修繕及び乾ドック施設はより要求が厳しく、品質、引渡し期間、価格面、安全面を考慮した外国船を期待しなければならない。既存の商船隊の中から選別した船舶を修復する統合変革プログラムは、選別したドック及び造船所のアップグレードと同時に、政府の特別財政スキームの下に速やかに行われなければならない。同プログラムの最後には、全ての選別された船舶が修復した場合、経験のあるアップグレードした造船所が外国籍船舶を引きつけるだけの魅力がなければならない。

3.4.2 バタムのPMA造船所の成功例に学び、造船業に新規投資家を集めるようより多くの自由貿易地域の設置を考慮すべきである。インドネシアの太平洋沿岸の島々は、そのような地域の必要条件を満たしている可能性があり、アジア太平洋地域諸国間の貿易成長が期待される。

3.4.3 過去20年間にインドネシアの新規船舶の建造は、長期用船ベースで新タンカー船をインドネシアで建造した国有企業PERTAMINA社を除いては政府支出プロジェクトのみであった。実質的には民間からインドネシア造船所への発注はなかった。国内市場形成は未だかなり遠いようである。

3.4.4 注文を国際市場から受注するならば、造船及び船舶修繕産業の助けとなる環境を誘発することは必然的である。インドネシアの造船所は、アジアのより経験豊富な造船所との競合に直面するためにも管理上、技術上共に刷新されるべきである。

 

 

 

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