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表4-2のとおり、GDPに占める工業の比率は70年以来、10%程度で推移している。因みに98/99年度のGDP比は11.2%になっている。工業の就業人口比率は75%(95/96年度)と農業人口に比べると非常に小さい。業種は従来ジュート製品、綿繊維品、食料品等の農産品加工業の割合が大きかったが、近年縫製品の比重が大きくなっている。

 

表4-2 バングラデシュの国内総生産産業別構成(84/85年度価格)

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出所:アジア動向年報

 

バングラデシュ経済はここ数年比較的高い成長率を達成したが、それを取り巻く経済環境は未だに多くの問題を抱えている。世銀によれば、貸出総額に対する不良債権が43%を占めている金融部門は相変わらず脆弱なままであり、多くの負債を抱えている国営企業は政府の大きな財政負担となっている。エネルギー部門を筆頭とするインフラの未整備が工業部門の発展の足枷となっている。その他にも、ゼネストの頻発等の内政不安定、熟練労働者の不足、行政の許認可事務の不効率性など多くの課題が山積されている。

バングラデシュが今後も持続的な経済発展を達成するためには、政府は各分野において根本的な構造改革に取り組む必要がある。具体的には、第1にエネルギー、道路、港湾、通信などのインフラ政策を強化すること、第2にバングラデシュ中央銀行の管理機能を高めるとともに国営商業銀行の民営化を図ること、第3に多くの負債を抱えている国営企業の再編政策を迅速に進めること、第4に財政収支の赤字を解消するため、税体系の見直し、行政処理の効率化、アジア開発銀行のプロジェクトや補助金など予算配分先の見直しを行うことなどがバングラデシュの今後の経済発展の鍵を握っていると考えられる。

 

 

 

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