ヨーロッパのフェリー船腹で圧倒的多数を占める船種は、伝統的な在来型旅客/貨物フェリーである。B1、B2型が総隻数の45%を占め、このうちの60%は地中海航路に就航している。このタイプのシェアが最も低いのは英国航路(20%)となっており、この市場では貨物と旅客の輸送量と集中度から、すでにRoPaxへの移行が可能になっている。
在来型貨物フェリー(RoRo)のシェアが43%と最も高いのも英国航路であるが、この船種が全フェリー船腹に占める比率は24%に過ぎない。英国航路は一般に短距離で、コンテナ船よりもRoRoに有利であるが、中長距離の地中海やバルチック海の航路では同じ種類の貨物でもコンテナ船が輸送を担っている。
Ropaxは、地中海航路とバルチック航路に同数(28隻)が投入されているが、英国航路ではその隻数は34に上っている。RoPaxの型別では大型のA3型が地中海で好まれるのに対して、英国航路では小型のA1型が主流を占めている。
いずれの水域も高速フェリーの比率は同程度であるが、HSSは英国航路以外では見られない。
以上から見ても、船種の分布が各航路の条件を反映していることが明瞭に見て取れる。どの航路でも高速フェリーの比率は変わらないが、すべての航路に共通する船腹構成パターンというものは見られない。各地域の航路を比較してみると、きわめて特徴的な航路が多く見られるのは地中海であり、バルチック海も正に特色のある航路が多い。