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1.2.2 地域市場の特色

ヨーロッパ航路における全体的なフェリー輸送量の状況を以下に示す。英国の各航路が海峡トンネルの影響にもかかわらず、トレーラ積載貨物輸送で過半のシェアを占めている。スカンジナビア/バルチック海航路は、「飲み放題クルーズ」やスウェーデン/デンマーク間の近道航路の影響で、旅客輸送の過半のシェアを占めている。一方マイカー輸送で支配的なシェアを占めているのもバルチック関連航路である。

 

ヨーロッパのフェリー航路における輸送量(1998年)、単位千台(名)

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長距離航路の方が多数の船舶の投入を必要とするので純粋に輸送量のみを基準とした航路の順位と、必要とされるRoPax、フェリーの隻数との間に直接的な相関関係はない。中長距離航路に中小型船を投入しても、航海頻度を上げれば(最高1時間おき)船舶の稼働率と積載効率を高めることができるので、経済性が下がることはない。

北部と南部の間に顕著な差が見られるのは両者の運賃収入の差によるものである。南部の方が投入船腹の船齢が高く、また運賃、船速とも低い。また運転手の人件費が低いために運転手付きの有人トレーラをRoRo方式で輸送する例が多く、さらに遠くまで海上輸送を利用する傾向が見られる。北部では、無人のトレーラ単独の輸送を選ぶ動機が働いている。手間は複雑になるが、この方がコストが抑えられるためである。これらの選択は投入船の設計に影響を及ぼす。南部航路では船室など、運転手向けの設備を充実させなければならない。港湾作業の性格も有人と無人のトレーラとでは大きく異なってくる。運転手が乗っていれば荷役を引き受けてくれる。南部航路で長距離運転手の賃金が増大すれば、これに取って代って無人トレーラが増加するものと思われる。

在来型RoRo貨物船が投入されている超長距離航路がまだ多数存在するが、この分野はRoPaxに代替される可能性は全くない。最新鋭のRoPaxによる代替の対象としては、在来型の貨客船や在来型の貨物船と客船の組合せの他に、既存のRoPaxが選ばれる可能性も同様に高い。代替の場合、旧式船2隻以上に対して新造船1隻が投入されるものと思われるので、その可否は十分な輸送量があるか否かにかかっている(例えばStenaは3隻の中小型船に代えて「スーパーRoPax」2隻を2000年末頃に投入する予定である)。RoPaxは英本士/アイルランド、北海、フィンランド/ドイツなどの中距離航路で貨物RoRoの代替に最適である。

 

英国航路:

英国の主要航路はアイルランド/英本土と英本土/英仏海峡横断の両航路である。海峡横断航路は、英国航路で旅客輸送の71%、乗用車の70%、トレーラの40%弱と支配的なシェアを占めている。なお、この他にユーロトンネル経由でトレーラ70万台の輸送がある。

 

 

 

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