国務省海事局(Office of Marine Affairs)
国務省の海事局は海賊問題についての外国政府との話し合いの中心になっており、この問題に関するIMO及び国連会議に担当局として出席している。しかし、同局は国務省内の非常に小さな局であり、海賊問題は同局が扱う多くの問題のひとつに過ぎない。
運輪省(MarAd)
MarAdの役割は、商船を対象とした敵意のある行為に対処するため、米国籍船舶の船主が採用すべき方針と慣行について勧告を提供することである。MarAdの勧告98-06は、この問題を取り扱っている(付録2を参照)。
運輸省(USCG)
USCGの役割は、200マイルの排他的経済水域内において法を執行することである。この沿岸水域内で発生した海賊行為はUSCGの捜査、介入の対象となる。
運輪省保安情報局(Office of Security and Intelligence)
同局は、海運を含む運輸システムの保安に関する問題に対する政策の策定を担当する。
連邦捜査局(FBI)
FBIは米国人、米国企業が関与する事件を捜査する役割を担っている。これには、米国籍船舶に対する海賊行為等の危害も含まれている。
全体的に、海賊問題に関して米国政府機関の間に横の繋がりはほとんどないように思われる。海賊被害対策の一貫したプログラムの策定、実施の責任を負う指導的機関は存在せず、複数の機関がばらばらに独自の使命を遂行しており、全体的な方向を定める単一の機関は存在しない。
業界も政府も、海事保安会議(Maritime Security Council: MSC)に加盟している。同組織は海運会社、警備会社、政府機関により構成されている。同会議は年に2回、秋にワシントン郊外、春にマイアミで総会を開催している。参加者は約200人から400人である。