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米国産業輸送連盟はこの件に関して、あまり表立たないアプローチを採用しており、同連盟のスポークスマンは、ジョーンズ・アクト改革について、「今の段階では大幅な政策転換を求めることは考えていない」としている。

 

n) 米国畜産業者牛肉協会(National Cattlemen's Beef Association)―改革派

同組織は、ジョーンズ・アクトが畜牛、家畜、飼料原料の経済的な輸送を妨げており、牛肉産業はコスト等の負担を被っていると主張している。NCBAによれば、ハワイの牧畜業者が本土に家畜を輸送する場合、高価な装置を備え付えたジェット機を使用するか、外国船を使ってまずカナダに送り、そこから米国向けに積み替え輸送するしかない。カナダに輸送された家畜は、動物の衛生規制上カナダ産となるため、本来はこれらの家畜の輸送には必要のない手間、コスト、検疫といった負担がジョーンズ・アクトのおかげで必要となる。またNCBAによれば、水上輸送は飼料の最もコスト効率のよい輸送手段であるが、ジョーンズ・アクト船の使用が現実的ではない、または利用できるジョーンズ・アクト船がないために、割高の鉄道輸送や外国からの輸入に頼らざるを得ない。

 

o) 鉄鋼生産者協会(Steel Manufacturers Association)―改革派

ジョーンズ・アクトのおかげで、鉄鋼生産者協会は、原材料を輸送する場合、また国内の買手に製品を出荷しようとする場合に、不公平な米国港湾間の航洋輸送規制に直面すると主張している。同協会によれば、ジョーンズ・アクトは保護主義的であり、内航水上輸送市場を歪曲し、米国納税者に年間何十億ドルもの負担を与え、米国鉄鋼産業の競争力を損なうものである。ジョーンズ・アクトのおかげで、どれだけ金を払っても、航洋輸送はできない地域がある。鉄鋼生産者協会は、東部及び中西部の米国鉄鋼メーカーは、ジョーンズ・アクト要件のため、西海岸市場に経済的に製品を輸送することができず、西海岸のビジネスを外国の競争相手に奪われている。

 

 

 

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