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k) 会計検査院(GAO)、国際貿易委員会(ITC)

米国会計検査院(GAO)と国際貿易委員会(ITC)はそれぞれジョーンズ・アクトに関する報告書を発表し、議論の火に油を注いでいる。

1998年に、マッケイン上院通商委員長の要請により、GAOはジョーンズ・アクトの経済的影響に関する調査研究を開始した。マッケイン上院議員は、かねてからジョーンズ・アクトの内航保護の有用性に懐疑的であることが知られており、ジョーンズ・アクトの総体的経済的影響についての客観的分析を導入するべく同調査を要請した。支持派、改革派それぞれに主張を援護する数字を出しており、議員はどちらの数字を信じてよいものか混乱している。最後に行われた客観的分析は、1995年のITCによるものであり、同分析でITCはジョーンズ・アクトが米国経済に少なくとも年間28億ドルの負担を与えていると結論している。

マッケイン上院議員は、ITC報告書の見解を支持しているが、さらに事実を明確化するために再度の調査を要請したとされている。支持派、改革派ともに再調査を歓迎した。改革派は、ITC報告書の数字が控えめすぎると主張し、支持派はITC報告書がジョーンズ・アクトを輸入制限として扱ったのは不適切である等と不満を訴えていた。

1998年3月にGAO報告書が発表されたが、同報告書はITC報告書の結果を分析したに留まり、ジョーンズ・アクト自体については論じていない。GAO報告書は、ITCによるジョーンズ・アクト廃止の影響の分析は適切ではあるが、ITCの出した数字は実証することができないというものであった。GAO報告書の結論はいかようにも解釈できる曖昧なものであったため、両陣営がこれを自分達の勝利としたのである。

ITC報告書「米国主要輸入規制の経済的影響」は議会及び米国通商代表部の要請により隔年に作成されるものである。上院財務委員会の指令により輸入規制について検討が行われる。ジョーンズ・アクトはそのうちのひとつである。1997年には報告書は発表されなかった。問題のITC報告書は1991年に作成され、1995年に更新されたものであるが、ジョーンズ・アクトは米国経済にとって純損益を出していると結論している。

 

 

 

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