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c) 海事内航研究会

海事内航研究会(Maritime Cabotage Task Force: MCTF)は米国内航海運支援のために集結した企業の特別同盟である。同研究会はロブ・クォーテルによるジョーンズ・アクト改革同盟に対抗して1995年に結成された。海事内航研究会は造船所、船主、運航者、労組、船社を代表している。ジョーンズ・アクト改革同盟と違い、MCTFは支持者を公表している。(公表によれば、支持団体、支持者等406)

ジョーンズ・アクト内航保護の恩恵を被っているという共通点により結びついた同組織は、ロビーイング、広報の点でそれぞれの会員の持つ力を利用して、4年間にわたり、ジョーンズ・アクト改革阻止のキャンペーンを行ってきた。海事内航研究会の会員は、議会で証言し、分析的レポート、政治的レポートの作成資金を提供し、ジョーンズ・アクト改革阻止を政治上のアジェンダとして最優先してきた。

ジョーンズ・アクト改革同盟は、「独立納税者グループ」との協調関係を通じて多数の個人を代表していると主張してきたが、政治的論争の過程から、これらのグループにとってジョーンズ・アクトの優先順位が低いことは明らかであった。優先順位の高い案件のために、あっけなく犠牲にされたのである。そのため、大企業や、強力な業種団体が政治的議論の風向きを変えることができたとしても、この案件は政治的圧力を掛けるほど重要なものではなかったために、そうしなかったのだ。

海事内航研究会の会員にとっては、ジョーンズ・アクト改革阻止に勝る政治的案件は存在しなかった。その結果、彼らのメッセージは明瞭であり、目的ははっきりしていた。海事内航研究会は、クォーテル氏のクループからの批判の一つ一つに反論し、議会におけるキャンペーンに企業のトップ陣を送り込み、ジョーンズ・アクト支持を公にすることを厭わない会員の数を着々と増やしてきた。

海事内航研究会はジョーンズ・アクト擁護のためのいくつかの委託調査を行っている。1997年には「フル・スピード・アヘッド」と題する報告書で、1965-1995年の期間に、ジョーンズ・アクト船腹の規模は倍増し、生産性は3倍となったと論じた。これまでの報告書では、ジョーンズ・アクト船腹を航洋船に限定していたのを、この報告書は大型商船すべてをジョーンズ・アクト船腹とする拡大定義を採用することにより、30年間でジョーンズ・アクト船腹が劇的に拡大したように見せかけたのである。

 

 

 

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