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「ジョーンズ・アクト(内航保護)全体を廃止しようとする改革同盟の過去の動きを追ってきたが、これを支持することはできなかった。なぜならば我々は、内航に従事する船舶について、米国所有・米国籍要件及び米国人配乗要件を受け入れることができるからである。」「しかしながら我々は長年、国内建造要件が健全な外洋内航商船市場実現の障壁となっていると考えていた。なぜならば、米国造船所の商船建造市場における競争力は特に船価の点で甚だしく劣っているために、ジョーンズ・アクト保護をもってしても、米国建造船のコストが莫大となることから、新造意欲が殺がれている…。国内建造要件が廃止されれば、内航航路の老朽タンカー船腹は、新鋭のより経済的な米国籍船舶にとって代わるだろう。」

シェブロンの書簡によりジョーンズ・アクト改革派は強い味方を得たと考えられている。同書簡について、ジョーンズ・アクト改革同盟のロブ・クォーテル理事長は「改革に向けての我々の長い旅路にとって非常に重要な転機である」と述べた。

一方ジョーンズ・アクト支持派は、シェブロンの声明を取るに足らないものとしている。海事内航研究会(Maritime Cabotage Task Force)のフィリップ・グリル会長は「何も驚くようなことではない。シェブロン関係者はジョーンズ・アクトの米国建造要件に昔から批判的であった…。しかしシェブロンの見解は米国産業の代表的な見解からは程遠く、これにより行政府及び議会からの圧倒的なジョーンズ・アクト支持が変わるわけではない」としている。

実際のところ、シェブロンの支持はさしたる影響を及ぼさず、提案は立ち消えとなった。第105期議会の終わりに、同盟のジョーンズ・アクト廃止の努力は全く進展せず、同盟は実質的に瓦解した。その後クォーテル氏が去り、同盟は消失した。

 

 

 

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