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クォーテル氏は、同盟メンバーについても、支援基盤についてもはっきりとした説明を避けた。同盟の支援基盤の不明瞭さが、議会公聴会で嘲笑の種となったこともあったが、ジョーンズ・アクト廃止で利益を被る企業をメンバーに擁する大規模な産業団体、業種団体から経済的支援を受けていると一般に考られていた。そのため、クォーテル氏は、経済的観点からジョーンズ・アクト反論を展開する傾向にあり、同法は人為的に競争を抑制することにより、米国の消費者及び中小企業の負担となっていると論じられた。

1998年6月初め、ジャーナル・オブ・コマース紙はジョーンズ・アクト反対派の戦略転換の可能性を報じた(6/1/98)。ロブ・クォーテル率いるジョーンズ・アクト改革同盟はこれまで、ジェシー・ヘルムズ上院議員(共和党・ノースカロライナ州)及びニック・スミス下院議員(共和党・ミシガン州)が提出したジョーンズ・アクトに大幅な変更を加える法案を支持してきた。しかしながら、内航制度の抜本的な改革についての反対は強く、これらの法案は議会の支持を得られなかった。議会が動かないことに業を煮やしたジョーンズ・アクト反対派は、内航制度に対してより限定的な例外を認めさせる方向に要求内容を修正することを検討した。上院通商委員長のジョン・マッケイン上院議員(共和党・アリゾナ州)は、議会が閉会する前に、ジョーンズ・アクトについての公聴会を開催することに同意した。この機会を利用するために、ジョーンズ・アクト改革同盟は新たな要求案を作成した。

ジョーンズ・アクトの例外措置はさほど珍しいものではなく、現行法ですでに13の例外がある。しかし、改革同盟の新提案は、特定のクラスの船舶について米国建造要件を免除することを要求しており、現在の内航制度の屋台骨を揺さぶるものである。

クォーテル氏の提案は、米国籍船社がバルク商品市場向けのサービスを提供する目的で外国建造船舶を購入することを認めるというものである。加えて同氏は、米国建造を行った企業からの反対を封じ込めるために、既に米国造船所から船舶を購入し、又は新造を発注している場合の、減価償却の加速をはじめとする税制優遇措置を提案している。

クォーテル氏は同提案を要約して、「本質的には、米国外で建造された船舶を米国籍に引き入れようとしているのだ。これにより問題の85%は解決さる。」と語った。

 

 

 

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