日本財団 図書館


また、20,000GT以上の米国籍・米国建造のクルーズ船からの運航収入については米国法人所得税課税を免除するとともに、20,000GT以上のクルーズ船の減価償却期間を現行の10年から5年に引き下げることとしている。さらに、米国クルーズ船主が資本建造基金(CCF)として積立できる資金の範囲を拡大し、陸続きでない航路からの運航収入だけでなく、米国内港湾間の航路からの収入及び「無寄港クルーズ」からの収入についてもCCFに預入できるようにし、その資金をこれらの航路で運航されるクルーズ船の建造に使用できるようにしている。CCFへの預入と引き出しについては代替最低税及びキャピタル・ゲイン税の課税を免除することとしている。

さらにH.R. 3392には、アメリカン・クラッシック・ボイエージ社のハワイ航路向け大型航洋クルーズ船2隻がインガルス造船(ミシシッピ州パスカグーラ)に対して新造発注される主な誘因となった米国籍クルーズ船パイロットプロジェクト法(1997年成立)と同様の規定が設けられている。具体的には、米国造船所と2隻以上のクルーズ船の建造について強制力のある契約を結んだ米国企業に対して、当該クルーズ船が建造されている間に米国内で市場を開拓して収入を得られるように、旅客船サービス法に基づく米国建造要件を一時的に免除し、外国建造船を米国籍に転籍することが認められる。当該外国建造クルーズ船は、米国造船所で建造される最終船の引き渡しの12ヶ月後に、米国内航運航から離れることが義務づけられる。

このほか同法案には、米国で製造された環境上クリーンな燃焼エンジンを米国籍・米国建造のクルーズ船に搭載し使用する会社に対して年間燃料費の20%について税額控除を認める規定や、米国籍・米国建造のクルーズ船上で行われた会議費について、陸上のホテルと同様に、必要経費として全額(現行上限は2,500ドル)を税額控除の対象とする等の規定が盛り込まれている。

ハンター議員は今回の法案について国家安全保障上の重要性を強調している。同議員は「強力な米国造船産業を確実に維持するための法的対策を講じることにより、米国納税者は競争力のある価格及びテクノロジーに確実にアクセスすることができるだけでなく、有事の際に即座に利用できる船舶と労働力を確保できる。」と語っている。米国造船所協会(ASA)のシンシア・ブラウン理事長は、同法案を賞賛し、「本法案は、ハイテク、高度技術製造、船員等の分野で米国に多くの雇用をもたらし、米国の国防造船産業基盤を強化し、米国経済のすべての部門が21世紀に高度成長と繁栄に向けて進むための強力なエンジンに着火するものである。さらに、米国の観光客は世界で最も安全に建造され、安全に運航される船舶に乗ってバケーションを過ごすことができるようになる」と述べた。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION