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多数の利害関係者が改革提案を支持していたが、一方、米国籍旅客船の船主、運航者、サプライヤー500社を会員とする旅客船協会(Passenger Vessel Association)は反対の姿勢であった。クルーズ船の内航保護廃止の可能性を懸念している勢力にはジョーンズ・アクト船主、運航者も含まれていた。彼らは、今内航保護が廃止されれば、これが前例となり、将来自分達にも適用されるのではないかと畏れていたのである。

大手造船所6社を代表する米国造船所協会(ASA)、及び中小手造船所を代表する全米造船所協会(NSA)も改革反対派であった。ASA造船所は国防総省によるMARITECHプログラムの下で最新技術を駆使した旅客船の設計を行っており、会員造船会社のうち3社は当時アメリカン・クラッシック・ボイエージ向けの大型、航洋クルーズ船の契約受注を争っていた。また、NSAは、旅客船法の改正を議会が検討しているというだけでも、米国内航船建造プロジェクトの成立を危険にさらすとして反対した。

 

 

 

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