日本財団 図書館


注釈1

1984年海運法―1998年海運改革法の概要

 

1984年海運法

外航海運により輸送される貨物のほとんどはバルク貨物である。石油、石炭、バルク穀物のようなバラ荷は、通常、指定時に指定地へ貨物を輸送する目的でチャーターした船舶に積み込まれ、出荷される。工業製品、最終製品のようなその他の商品のほとんどは、「定期船」サービスにより出荷される。定期船による輸送は、特定の航路で特定のスケジュールで運航され、複数の荷主からの荷を混載する。定期航路に従事する船舶は、「混載海運(コモン・キャリア)」としてサービスを提供し、同じ目的地に同じ貨物を輸送する場合、同じ運賃を徴収することが義務づけられている。

 

伝統的に、これらの外航定期海運会社は、特定の航路において小グループ(海運同盟)を組織し、運賃率を設定し、特定の航路における海上輸送関連事項について合意していた。1984年海運法成立以前は、外国海運は1916年海運法の適用を受けていた。1916年海運法により、海運同盟はFMC(連邦海事委員会)に合意の内容を申告し、「公益」に照らして反トラスト目的に反することがないか検討された上で、承認されていた。

 

1984年海運法は、1916年海運法で海運同盟加盟キャリアに認められた反トラスト法適用免除を制限する裁判所意見に対処するために制定された。1984年海運法は、海運同盟加盟船社に認められた反トラスト法適用免除の対象を、運賃(レート)設定、また海上輸送に関するその他の協定行為に拡大し、海運同盟協定に対するFMC承認要件を廃止した。

 

1984年海運法により、米国航路に従事する海運同盟は、輸送貨物についての運賃と輸送条件を明らかにした運賃率(タリフ)のFMCへの申告を義務づけられた。FMCはこれらの運賃率(タリフ)を公開していた。1984年海運法では、海運同盟加盟船社が、10日間の事前通告期間後、個別に海運同盟の水準よりも低い運賃または良いサービスを提供する「独立契約(independent action)」を認めた。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION