また、H.R.2684は米国から利子や配当収入を生み出さない船舶、米国の輸出入貨物の輸送に従事しない船舶を所有し或いは運航する外国籍の会社の海運収入も含まないとしている。
さらにカリブ海海運共同体に属し、収入の75%がカリブ海地区での運航に基く船舶からの収入も除外される。ただし納税者がメンバーであるコントロール・グループが主として石油探査、採取、精製、石油或いは石油精製品のマーケティングに携わっている場合は石油、石油関連製品及び同副製品の運搬に携わる船舶からの収入は除外対象とはならない。
1999年、さらに広い立場から税制が米国の海運業の競争力に与える影響について諮問した下院公聴会で、ワシントンの海事弁護士W.ディーン氏はサブパートF海運連合を代表して下院歳出委員会で証言し、早急にH.R.2864を承認すべきことを要請した。ディーン氏は本公聴会で1975年のサブパートF改正以前には米国のコントロール下にある船隊は米国籍及び外国籍を含め世界船隊の25%を保持していたが現在は5%に減っていること、ヨーロッパ諸国が自国籍船に充分な優遇税制を与えていること、1975年以降の関連税収減、米国海運業の世界における影響力の低下、国家安全保障に与える影響等につき詳細に述べた。
さらにディーン氏は米国のコントロール下にある船隊が25%から5%に減ったことで関連業界、すなわち保険ブローカー、船舶マネージメント会社、各種検査官、船のブローカー、コンサルタント等が不利益を被っていることも訴えたが、残念なことに下院歳出委員会は1999年中にH.R.2684に対し何のアクションも起こさなかった、また2000年にこれを取り上げる気配もない。
この様な事情の中1999年下院歳出委員会のJ.ウェラー、M.フォーリー、P.クレイン議員等がスポンサーとなってサブパートFに関する新たな法案を用意しH.R.3102として提出された。
本法案では課税対象から除外する収入を航空機による輸送分野にまで広げ、収入の定義を次のように変更している。すなわち外国との通商(或いは借用、或いはリース)に従事する船舶または航空機からの(または関連する)収入、或いはこれら船舶または航空機に直接関係するサービスからの(または関連する)収入、或いはこれら船舶、航空機の売買、交換その他の取り引きに基く収入としている。