第二米国籍取得の要件は、1)船齢12年或いはそれ以下、2)米国の外国貿易にのみ従事すること、3)及び米国人或いは米国人が経営する会社が運航のコントロールをすること、の3点である。本案はジョーンズ・アクト、MSCその他既存の海事法を変更しないで米国籍船を増やすことを配慮している。
乗組員については原則として現行の米国籍船の規則(75%米国市民、25%法定居住権者)が適用されるが、クルーズ船のホテル要員については90%非米国市民でも認められる予定である。
当然のことながら政府貨物等は「第一米国籍船」が最優先される。本案で用意された「第二船籍船」対する税制優遇で、第二船籍船主は第一船籍船主に比べて25〜30%税額が低くなる予定である。
第二米国籍船の利点を以下に要約する。
* 米国の外国貿易に従事する第二米国籍船の船主は雇用した船員に対する社会保障費以外の全企業税を免除される。
* 海外の造船所で非緊急の修理工事を実施した船舶に課せられる50%従価税は廃止される。
* 政府貨物運搬の資格取得のために外国籍船に課される3年間の待機期間は第二船籍を取得した船には適用されない。ただし政府貨物取得の優先度は第一船籍の次となる。
* 米国の海外貿易に従事する第二米国籍船上で働く船員は、海外で働く他産業の米国市民と同じく80,000ドルまでの年収入に対しては課税されない。
* 第二米国籍に登録されているクルーズ船上で行われる会合或いはコンベンションの出席者は2,000ドルが課税対象から控除される。
ロット−ブロー案はさらに前述のCCFを改正する1999米国籍商船活性法を取込む予定であり、本案が成立した場合の効果が興味あるところである。外国籍船が第二米国籍を取得する場合、船級協会から第二米国籍取得の資格船であることの証明を得なければならない。
第二米国籍船は上記の多くの利点と引き換えに国家非常時に国防総省の要請に答えて軍需物資を輸送する義務を負う規定が用意されている。したがって立法者の思惑通りに、上記利点を得るために米国籍船が増えれば、MSPが期限切れとなる2007年以降、年間1億ドルのMSP出費を節約し、かつ国家安全保障上の商船を多数確保することが可能となる。